研究課題/領域番号 |
19K02260
|
研究機関 | 熊本学園大学 |
研究代表者 |
松本 勝明 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (80272300)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 外国人 / 社会保障 / ドイツ / 共生社会 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本における外国人材の受入れ拡大に対応し、外国人が円滑に共生できる社会を実現するため、ドイツでの経験や議論などに基づき、これまで国民を対象とする国内制度として発展してきた社会保障制度を共生社会に適合したものに転換するための理論的な基礎と具体的な対応策を提示しようとするものである。 このため、令和3年度においては、令和2年度までの検討を通じて明らかとなったドイツにおける外国人の社会保障に関する基本的な考え方や具体的な取扱いを踏まえ、社会保障の中でも最低生活を保障するための制度について、庇護申請者の取扱いに焦点を当てて検討を行った。その理由は、人々の連帯的な結びつきを基礎として構築される社会保障においては、庇護申請のためだけに受入施設などに一時的に滞在する庇護申請者は不利な取扱いを受けることになりがちであるからである。 検討の結果、2012年に出された連邦憲法裁判所の判決において、ドイツ連邦共和国基本法が保障する「人間の尊厳」を根拠として、外国人についてもドイツ社会との結びつきの程度にかかわりなく、肉体的な生存に限らない最低生活の保障を受ける権利が認められたことは、庇護申請者の増加に対応してその生活を支援するための社会給付を削減することには制約があることを示した点において重要な意味を持っていることを明らかにした。 この成果は、「庇護申請者に対する最低生活の保障―ドイツ庇護申請者給付法―」と題する論文として発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和3年度においても、令和2年度と同様に新型コロナウイルス感染拡大の影響により、ドイツにおける現地調査、資料収集及び研究者との意見交換を実施することができなかったためである。このため、補助事業期間の延長の承認を受けたところである。
|
今後の研究の推進方策 |
令和4年度においては、令和3年度に実施できなかったドイツでの現地調査などを実施するとともに、その成果も含めたこれまでの検討結果を基に考察を行う。これにより、社会保障を外国人が共生する社会に適合したものとするための理論的な基盤と具体的な対応策を取りまとめる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)次年度使用額が生じた理由は、令和2年度及び令和3年度に予定していたドイツでの現地調査及び国内研究者との対面での意見交換が新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期となったことにより、そのために予定していた費用が未使用となったことによるものである。 (使用計画)令和4年度においては、延期になったドイツでの現地調査及び国内研究者との対面での意見交換も実施する予定であり、次年度使用額を用いて研究を推進し、成果のとりまとめを行う計画である。
|