研究課題/領域番号 |
19K02260
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研究機関 | 熊本学園大学 |
研究代表者 |
松本 勝明 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (80272300)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 外国人 / 社会保障 / ドイツ / 共生社会 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本における外国人材の受入れ拡大に対応し、外国人が円滑に共生できる社会を実現するため、ドイツでの経験や議論などに基づき、これまで国民を対象とする国内制度として発展してきた社会保障制度を共生社会に適合したものに転換するための理論的な基礎と具体的な対応策を提示しようとするものである。 このため、令和4年度においては、令和3年度までの検討を通じて明らかとなったドイツにおける外国人の社会保障に関する基本的な考え方や具体的な取扱いを踏まえ、加盟国間を移動する労働者に係る社会保障制度の調整に関するEU規則や、物・人・サービス・資本が自由に移動する内部に国境のない「域内市場」の実現を目的とするEUの取組みが加盟国に対してどのような影響を与えているかについて検討を行った。 この検討の結果、次のことが明らかとなった。加盟国は、加盟国間を移動する労働者に係る社会保障制度の調整に関するEU規則により、国内法の規定にかかわらず、「領土」や「国民」の枠を越えて社会保障の給付を行うことを求められている。さらに、域内市場の実現を目的とするEUの取組みが「領土」や「国民」の枠を越えて社会保障の給付を行わなければならない範囲を一層拡大させている。 この成果に基づき、令和4年7月に北海道大学大学院法学研究科の社会保障法研究会において、EU法が加盟国社会保障法の人的及び地理的適用範囲にどのような影響を及ぼしているかに関する報告を行うとともに、「EUが加盟国社会保障に及ぼす影響」と題する論文を発表した。さらに、グローバル化に伴う労働力等の国際移動が社会保障にもたらす影響とその対応策についての検討結果を図書『新たな時代の社会保障法』において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和4年度においても、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、文献・資料収集及び研究者との意見交換などを予定通りに実施することができなかったためである。このため、補助事業期間の延長の承認を受けたところである。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度においては、これまでに実施できなかった調査・意見交換などを実施するとともに、その成果も含めたこれまでの検討結果を基に考察を行う。これにより、社会保障を外国人が共生する社会に適合したものとするための理論的な基盤と具体的な対応策を取りまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)次年度使用額が生じた理由は、予定していた調査及び研究者との対面での意見交換が新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期となったために、予定していた費用が未使用となったことによるものである。 (使用計画)令和5年度においては、延期になった調査及び意見交換を実施する予定であり、次年度使用額を用いて研究を推進し、成果のとりまとめを行う計画である。
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