研究課題/領域番号 |
19K02261
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研究機関 | 高田短期大学 |
研究代表者 |
鷲尾 敦 高田短期大学, キャリア育成学科, 教授 (30259379)
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研究分担者 |
福田 洋子 高田短期大学, キャリア育成学科, 准教授 (60817584)
野呂 健一 高田短期大学, キャリア育成学科, 教授 (80594407)
寳來 敬章 高田短期大学, 子ども学科, 講師 (80638114)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 実習評価 / 介護実習 / ルーブリック / 自己評価 / 実習施設 / 留学生 / 評価力 / 介護福祉士 |
研究実績の概要 |
本研究は、介護人材育成の教育課程において効果的な介護実習評価を実施するため、介護実習で到達すべき能力指標と基準を、養成校、実習施設、並びに学生が共有できるルーブリックを開発するとともに、評価結果をその後の実習指導や授業等を通して学生にフィードバックする実習指導のPDCAサイクルを構築することを目的としている。 2019年度は、前年度実施した「介護実習Ⅱ」に開発ルーブリックを用いて学生による自己評価と実習指導者による評価を実施し、その評価結果を分析した。また、学生が初めて実習に臨む「介護実習Ⅰ」で取り扱うルーブリックを改訂し、学生による自己評価と施設実習指導者による評価活動と評価結果の分析を行った。それに加え、実習施設からルーブリックによる評価実施を終えて意見や感想を聞いた。 これまでに、学生が介護福祉士としてのレベルに近いレベルにいるであろう介護実習からルーブリック評価を実施しルーブリックの改善をしてきた。今までの評価データの分析から学生は実習態度は良いが積極性に欠ける、コミュニケーション能力の中でも特に職員に対する意思疎通に課題があるなど実習における学生の強みや弱みの傾向を見出すことができた。また、留学生が多く入学するようになり留学生の実習評価も課題となってきており、評価結果から留学生の特徴として自己評価で高く評価する傾向も認めることができた。施設評価においては、指導者が留学生の言葉のハンディを配慮して評価している実態も散見された。ルーブリックについては、「施設理解」など今の記述語の表現では評価しにくい項目の指摘もあった。「介護実習Ⅰ」の場合、他の実習と実習内容や実習先の特徴が異なりルーブリックの改善がさらに必要であること、学生にとって初回の実習で学生の介護の技術力はもちろん、評価力が育っていないことも課題であることなどがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)2018年9月の「介護実習Ⅲ」で実施した試作ルーブリックによる実習評価結果及び施設担当者と学生へのアンケート結果とそれまでの研究過程について2019年6月の大学教育学会で口頭発表した。 (2)2019年3月に実施した「介護実習Ⅱ」での評価結果を分析し、高田短期大学紀要にその分析結果と課題、今後の方向性について報告した。 (3)2019年8月に「介護実習Ⅰ」についてルーブリックによる評価活動を行い、評価結果を分析した。あわせて施設実習指導者へのアンケート調査を行った。実習先や内容が「介護実習Ⅱ,Ⅲ」とは異なる「介護実習Ⅰ」において同じルーブリックが適用可能かを検証した。その結果をキャリア研究センター紀要に発表するとともに、さらに研究について意見を求めるため、2020年度の大学教育学会での口頭発表目指して予稿を提出したところである。 (4)2019年9月には、前年に引き続き「介護実習Ⅲ」の実習評価を実施しデータを得たところであるが、分析がまだ完了しておらず、2020年度前半に行う予定である。また、「介護実習1」で評価活動をした学生が実習する「介護実習Ⅱ(2020年2,3月)」の実習が終わったところであり、その評価について2020年度前半で評価活動及びデータの回収分析を行う予定である。 (5)「介護実習Ⅱ」と「介護実習Ⅲ」の評価結果から本学学生の傾向について分析を行い、本学学生の特徴や留学生の特徴など、学年、実習が異なるにも関わらず概ね同様の傾向があることが分かった。今後は、各年度学生の特徴、本学学生の傾向、実習の段階による変化と学生の成長の様子など詳細な分析を行っていく必要があり、2019年度入学生の評価結果を追っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
【実習Ⅰ,Ⅱ,Ⅲの評価結果の詳細な分析】個々の実習において分析の方法も検討しながら、結果を出してきた。いくつかの実習評価を終えデータが集まったので、これまでの結果を用いて詳細な比較分析を行いたい。また、昨年実習Ⅰを行った学生がどのような成長を見せ、それがルーブリック評価結果にどう反映されていくか追跡分析を行っていく。 【ルーブリックのさらなる改善】「介護福祉士としての目標レベルをさらに上の基準として示してはどうか」「介護実習Ⅰ、Ⅱ、Ⅲといった実習内容や求められることが異なる実習において、それぞれの段階でより適切に対応した指標を加えることはできないか」「評価指標や着眼点に重みをつけて総括得点をつけられるようにしてはどうか」などがメンバーで課題となっている。特に、今回初めて評価活動を実施した「介護実習Ⅰ」の特徴から、「介護実習Ⅰ」で活用するためのさらなるルーブリックの改善が必要である。ほかに、実習指導者からの指摘も考慮すべき事項が出ている。「介護実習Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ」と、学生の成長の各段階で使え、さらに、社会で活躍する介護福祉士レベルを目標とする基準も加えたルーブリックを検討し、成長を感じることができるルーブリックに改善する。 【評価活動のPDCAサイクルの構築】 評価結果を授業指導に反映し学生の成長につなげることを目標とした、実習と評価のPDCAサイクルを構築する。評価データから本学学生の傾向が見えたが、個々の学生の特徴、その学年あるいは本学学生の特徴を示すデータから、実習指導や事前学習にどのようなタイミングでどうフィードバックしていくかを討議し、授業での事前指導、実習や実習カンファレンス、授業改善、評価活動の改善を通したPDCAサイクルを構築できるよう検討を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年3月に、教育工学会春大会(信州大学)2日間、大学教育改革フォーラムin東海等に参加する予定であったが、新型コロナウィルスの影響のため、学会が開かれず(一部オンライン参加)、残しておいた旅費が使われずに残ったため。
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