本研究では、合理的配慮の中核的要素である具体的な援助行動を、障害の社会モデルに基づく質の高いものに転換するための実践的な調査研究を行った。研究開始当初は、A.援助行動に対する意識と障害者観に関する調査研究、B.援助行動の質に関する調査研究、C.適切な意識形成を促す教材開発研究、D.援助行動の質を高めるためのプログラム開発研究から成る研究計画をデザインしたが、期間中に発生したCOVID-19の流行に伴う社会情勢の変化を受け、対人サービス場面における援助行動に関する調査が困難になったことから、研究計画を機動的な見直し、主に課題A・C・Dに関する理論研究、及び教材・プログラム開発を実施した。 このうち、課題Aについては、実施済のアンケート調査の二次分析により、援助行動に対する意識と障害者観との関係を分析するとともに、ウィズコロナ時代に求められる対人サービス場面の援助行動に関する内容及び評価基準に関する検討、及び障害分野を越える合理的配慮実践の拡張可能性を視野に入れた実践的知見の整理を行った。これに基づき、課題C・Dについては、連携先であるJTB総合研究所との共同開発により、「ニューノーマル時代における合理的配慮」に関するワークショップを開発し東京都等のセミナーにおいて実施したほか、一般社団法人OTD普及協会との共同開発により、合理的配慮を含む共生社会促進のためのマインドセット形成と知識伝達を目的とした「心のバリアフリー認定講師」の養成プログラムを開発・実装した。
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