研究課題/領域番号 |
19K02264
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
小西 豊 岐阜大学, 地域科学部, 准教授 (10303489)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | ロシア企業 / 障害者雇用 / 企業の社会的責任 / 福祉的就労 / ソーシャル・インクルージョン / ソーシャル・イノベーション |
研究実績の概要 |
本研究の課題は、近年ようやく国際的な潮流を受けて、ロシアで登場してきた企業の社会的責任(CSR)活動を、ロシア企業の障害者雇用の現状と課題を通じて分析していくことにある。 ロシアの障害者は約1300万人、障害児は約60万4千人、ロシア全人口は約1億4千万人である。ロシアでは障害児は義務教育の対象となっているが、卒業後は社会から排除されている。教育はインクルーシブになってきているが、社会はエクスクルーシブな状態である。ここには何のためのインクルーシブ教育の実施なのかという基本矛盾が存在する。また、企業に就職できる障害児は極めて限定的である。 雇用側の論理としては、障害者の労働生産性の低さ、障害者への合理的配慮にかかるコスト問題から障害者雇用に躊躇している。中央アジアからの移民(低賃金労働者)が障害者の雇用分野に参入し、移民と障害者が低賃金労働者として対峙している現実もある。大企業の障害者へのCSR活動はチャリティ、慈善事業(社会的弱者への施し)段階にとどまったものである。 市場レベルにおけるビジネス活動を通じて、多様な社会的課題の解決を目指すロシアのCSRとソーシャル・イノベーションの実態を解明することが本研究の狙いである。 したがって、本研究の学術的「問い」は、ロシアにおけるインクルーシブ社会の構築プロセスをめぐって、障害者の雇用問題に光を当てながら、障害者と非障害者との社会的結束の実践的課題、制度的課題、具体的方策を探求することになる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた2020年2,3月のモスクワでの実地調査が新型コロナ感染者拡大問題で実施が不可能となったことが最大の要因である。 文献研究は順調に進んでおり、また日本との比較分析のための調査も計画どおり順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナ感染問題の終息が長期化する場合、当初3年計画で本研究計画を策定、申請したが、最終年度を1年度繰り下げ申請し、4年計画で計画を再策定する必要があると判断している。カンタ―パートナーと相談の上、計画を再度練り直している段階である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
注文していた研究書籍の発行が遅延し、その分の予算を繰り越すことになったため。繰り越した予算でその研究書籍を購入予定である。
|