研究課題/領域番号 |
19K02269
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研究機関 | 神奈川県立保健福祉大学 |
研究代表者 |
中村 美安子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (30363857)
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研究分担者 |
大原 一興 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (10194268)
藤岡 泰寛 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (80322098)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 住民福祉活動 / 活動拠点 / 空き家活用 / 成年後見人 / 空き家情報 |
研究実績の概要 |
空き家活用を躊躇させる要因には、空き家の所在情報の把握の難しさ(確保の難しさ)と維持管理負担感(鍵の管理、草むしりや建物の維持管理の負担感)がある。維持管理の負担については、先進例の現地調査では、鍵の複数人管理などの工夫による軽減が見られたり、その負担は想像するより小さいという意見があり、未経験者の想定不安が大きいことが推察された。空き家の所在情報の把握の難しさについては、本研究で成年後見人が空き家情報が集積する場になっていることを明かにしてきたが、今年度は、他の可能性も検討するため地域の空き家情報とボランティア団体等をマッチングする制度をもつ横浜市建築局住宅部住宅政策課(空き家マッチング制度)と福岡市社会福祉協議会(地域貢献型空き家活用事業)に対し、空き家情報の把握の現状や方法、課題について把握するヒアリング調査を実施した。その結果。共通して活用したい団体の登録数に対して、提供する所有者の登録数が少なくマッチングが進まないこと、成立したケースでは、所有者が希望する賃貸料より減額することが多い状況があった。所有者に制度の情報が届いていない、福祉団体に貸すことのイメージや理解が浸透していないことが要因として推測される。本研究で明らかにした、成年後見人が空き家情報が集積する場であることについては、福岡市社協が法人後見を実施する中で、その活用を検討し始めたこと、被後見人のメリットが大きく家庭裁判所が認めない理由がないとの認識を有することを確認し、本研究で得た結果を支持する結果を得た。また、住民福祉活動への貸出が地域貢献の意義のみならず、低リスクかつ安価に物件管理ができ、休眠資源を有効活用できるメリットのある取り組みであることを周知する手引として『漫画でわかる空き家活用のすすめ~住民福祉活動拠点を空き家活用で~』を作成し、機関リポジトリにアップするとともに全国配布した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
空き家マッチング事業に取り組む先進地域のヒアリングを実施し、関係者の手引きとなる『漫画でわかる空き家活用のすすめ~住民福祉活動拠点を空き家活用で~』を作成し全国の都道府県社会福祉協議会、空き家マッチング実施自治体ほかに配布できたが、本研究において2020年に実施した調査で空き家活動拠点を有して生活支援活動の実態があると把握した4社協(11地区)のうち昨年度現地調査した船橋市社協を除く3地区についての現地調査は、コロナ禍を経て活動状況に変化が生じたため実施にはいたらなかった。
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今後の研究の推進方策 |
空き家活用を躊躇させる要因である「空き家の所在情報の把握の難しさ」「維持管理負担(感)」のうち前者は貸す側(所有者)の不安(「何らかのトラブルは起きないか」等)、後者は借りる側(住民福祉活動団体)の不安(「何かしら大変なんじゃないか」)に由来していると推察される。空き家活用を進める方策を検討するうえで、両者の不安を除去することが肝要である。次年度は、貸す側借りる側それぞれの不安を除去し、未経験団体、未経験所有者に今後前向きに取り組めるような検討材料を提供できるようにするため、すでに空き家活用によって活動拠点を確保している活動団体とそこに貸し出している所有者の現状認識を明かにすることによって、具体的に解決すべき課題を洗い出すことに取り組む。今年度作成した手引を活用し、関係者の空き家活用への啓発を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在空き家活用によって活動拠点を確保して生活支援活動を実施している地区に対する現地調査をコロナ禍の影響による活動変化で実施することができなかったこと、手引を作成できたが、それを活用したインタビュー調査までは至らなかった。また、調査や手引作成の会議などもオンラインで実施し交通費を必要としなかった。これらにより次年度使用額が生じた。 次年度は、現在空き家活用によって活動拠点を確保して活動している団体に対して維持管理の負担の実際についてのヒアリング調査およびアンケート調査を実施し、所有する空き家を提供している所有者に対して貸し出しによるメリットやデメリット、負担感の有無等についてのヒアリング調査を実施する。また、今年度作成した手引を増刷し、さらに啓発に取り組む。
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