研究課題/領域番号 |
19K02275
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研究機関 | 東北公益文科大学 |
研究代表者 |
白旗 希実子 東北公益文科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10735658)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ソーシャルワーカー / 英国 / 初期研修 |
研究実績の概要 |
児童ソーシャルワーカーの質保証において、入職後に感じる実践とのギャップを乗り越え、専門職の質保証に重要な機能を果たす初任者研修の制度構築が課題となっている。本研究は、日英における児童ソーシャルワーカーの初任者研修の制度分析と導入に向けた議論の分析、日英における初任者研修の実践者等へのインタビュー調査及び日英の制度の比較を通して、児童ソーシャルワーカーの質を保証する初任者研修のあり方について提案を行うことを目的としている。本年度の研究成果としては以下のとおりである。 英国の初任者研修(ASYE)の評価基準・向上基準及び評価指標について整理した。また、「国家的な評価と適格性認定(NAAS)」の導入に関するConsultationの資料収集等を行うとともに、NAASの目的、アセスメント、マネージャーの役割などについて、整理した。 また、「児童福祉法」(2016年一部改正)に向けての議論を、「児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会」、「新たな児童虐待防止システム構築検討ワーキンググループ」の議事録及び配布資料を用いて分析し、「資格化」「配置」「任用要件」などの観点から検討を試みた。配置については、職員の教育・訓練・指導をおこなうスーパーバイザーの配置を明記する方向で報告(提言)案がまとめられていた。また、多様なルートの質保証をおこなう方向性がうかがわれた。 その他、英国や日本におけるインタビュー調査に向けての資料収集などを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の達成状況は以下のとおりである。 ①国家的な評価と適格性認定の検討過程及びプログラム・評価指標分析:国家的な評価と適格性認定の導入に関するConsultationなどの資料収集を進めた。2020年度はこの資料を用いて、分析を開始する予定である。 ②英国におけるインタビュー調査:評価要件の導入過程・評価指標の内容について、再検討し、NAASの導入状況や、概要について整理した。並行して、次年度のインタビュー調査に向けての対象期間・対象者の絞り込みを進めた。 ③任用前講習・任用後研修に関する議論の検討:「子ども家庭福祉人材の専門性確保ワーキンググループ」の資料収集過程において、任用前講習・任用後研修が導入される経緯をまず検討する必要性があると判断したため、関係する審議会等における議論の分析を先に実施し、論文にまとめた。2020年度はワーキンググループの具体的な内容分析を進める予定である。 ④日本におけるインタビュー調査:今年度は資料収集を行いつつ、インタビュー調査の対象期間・対象者の絞り込みを進めた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、これまでの研究を踏まえ、以下のように調査研究を進めていく予定である。 「国家的な評価と適格性認定の検討過程及びプログラム・評価指標分析」、「ワーキンググループにおける任用前講習・任用後研修に係る議論の検討」については、収集した資料の分析を開始し、学会での報告、学会誌・紀要等に投稿する予定である。 英国においては職能団体等を対象にしたインタビュー調査、日本においては実践者へのインタビュー調査を進めていく予定をしているが、新型コロナウイルスの収束を待ちながら、可能な範囲で調査を実施する予定である。こうした状況を踏まえ、2020年度は、次年度以降予定していた文献や資料等を用いた研究を前倒しして進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加予定であった学会の中止、インタビュー調査の対象者の絞り込みを行っていた等の理由で旅費の支出がなかった。 次年度以降、国内外において、訪問調査を実施する予定で進めているが、新型コロナウイルス収束を待ちながら、可能な範囲で進めていく予定である。
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