研究課題/領域番号 |
19K02279
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
田中 瞳 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (20406903)
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研究分担者 |
渡邊 香 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 国立看護大学校 准教授 (70610327)
及川 真一 日本赤十字秋田短期大学, その他部局等, 講師 (50612678)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 誤嚥性肺炎 / 高齢者施設 / 介護職支援プログラム / 食事支援 / プログラム開発 |
研究実績の概要 |
食事は健康に影響すると同時に人間にとって楽しみや社会性を保持するものであるが、高齢者の食事には誤嚥による肺炎リスクが付きまとい、場合によっては生命とQOLを脅かすものでもある。また、誤嚥性肺炎は高齢者の寝たきりの要因となり、介護費や医療費の増大に繋がっている。療養施設に入所する高齢者の多くは食事介助を必要とするが、支援する介護職は資格取得までの経緯が多岐に渡っており、技術の獲得状況は人によって異なっているため、安全の確保が十分とは言い切れない現状がある。 本研究は高齢者介護施設で高齢者の日常生活支援を行っている介護職を対象にした食事介助の支援プログラムを構築し、高齢者に対し介護職が提供するケアが向上することを目指している。実装可能な支援プログラムの構築には、介護職が実際に感じている困難事象とニーズを抽出する必要がある。そこで、高齢者介護施設等医療職が不在の時間がある施設で高齢者の日常生活支援を行っている介護職が、「高齢者の食事介助場面で感じる困難事象」と「安全な食事介助への介護職のニーズ」を明らかにし、安全な食事支援のための介護職支援プログラムの構築とその実装について検討する。本研究は看護と介護を融合した高齢者支援の実践を目指しており、得られる結果は高齢者本人の幸福と介護職の援助実践を支援するために有益であること、高齢者のQOL・ADLの低下によって拡大する医療費・介護費抑制の一助となることが期待される。 本年はその初年度にあたり、文献レビューの結果を踏まえ、調査のためのインタビューガイドおよび質問紙の作成を行なった。令和2年度に実施を予定しているインタビュー調査は、新型コロナウイルスの影響を考慮し、調査スケジュールを調整中である。インタビュー調査で得られる介護職が捉える食事支援に関する具体的な困難事象と解決ニーズは、支援プログラムを検討するうえで不可欠かつ貴重な知見と考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に計画していたスケジュールで進捗している。インタビューガイドと質問紙を作成し、関連する文献の検討及び担当者での打ち合わせ等を実施した。次年度より調査を実施する予定で倫理委員会より承認を得た。 先駆的なケアを実施している高齢者施設への視察を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響を考量し、実施を見合わせてた。視察の実施は次年度以降に変更した。
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今後の研究の推進方策 |
初年(令和元年)度は計画通りの進捗となったため、令和2年度は原則的には計画に従い、調査の実施とデータ分析を予定している。 しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、高齢者療養施設でのインタビューの実施は当初の計画よりも協力施設の同意を得ることが困難になることが予測される。 調査実施にあたっては研究者が拠点とする都県を中心に高齢者療養施設への協力依頼を行い、各地域の担当者を定めて調査を実施するよう調整にする。 調査の実施にあたっては感染予防には最大の留意を行い、状況に応じてはWeb会議システム等を活用したインタビューの実施についても検討する。その際、研究についての説明依頼は事前に書面を送付し、同意書は郵送等で受け取ることを検討する。この点について、倫理担当部署に確認を行い、上記の方法は対象の状況によって実施可能であることを確認した。 その他、感染予防のための諸事項には柔軟に対応し、令和3年以降の計画と併せて適切に計画を進行する。 なお、見合わせている施設への視察については状況を考慮し、視察可能な時期の実施に変更する(視察予定を研究期間中に変更し、可能な状況での実施を検討している)。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度に予定していた施設視察を新型コロナウイルス感染の拡散が懸念されることから見合わせたため、視察旅費等が未使用となっている。視察については状況を見極め、次年度以降に延期するものとする。 予定通り発注したが、同様の理由で納品が4月1日以降になったものについては次年度の執行費として報告する。
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