研究課題/領域番号 |
19K02279
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
田中 瞳 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (20406903)
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研究分担者 |
渡邊 香 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 国立看護大学校 准教授 (70610327)
及川 真一 日本赤十字秋田短期大学, その他部局等, 講師 (50612678)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 食事支援 / 高齢者 / 高齢者施設 / 介護職 / 困難事象 / 誤嚥性肺炎 |
研究実績の概要 |
食事は心身の健康と同時に食べる楽しみや他者との交流等の社会活動とも関連し、QOLと深く関連している。肺炎患者に占める75歳以上は約7割、入院を要する肺炎のうち、誤嚥性肺炎の割合は70歳代で70%、90歳以上では90%を超え、加齢に伴い増加している。このように高齢者の食事には誤嚥性肺炎リスクが付随するため、生命とQOLを脅かす危険も孕んでいる。高齢者にとって誤嚥性肺炎は寝たきりのファクターでもあり、誤嚥性肺炎への罹患は医療や介護の費用増大に繋がっている。 高齢者の誤嚥性肺炎の発症要因は脳卒中などの既往や加齢に伴う嚥下機能の低下、免疫低下などの身体機能の変化および口腔ケアの不十分さがある。特に要介護者は自身で管理をすることが困難なことが多い。また、療養施設に入所する高齢者の多くは日常生活に介助を必要としている。支援者である介護職は資格取得までの経緯が多岐に渡っており、技術の獲得状況は人によって異なっているため、食事支援について十分な安全確保がされているとは言えない現状がある。 本研究は高齢者介護施設で高齢者の日常生活支援を行っている介護職を対象に食事介助の支援プログラムを構築し、介護職が提供するケアが向上することを目指している。そのため介護職が食事支援に感じている困難事象と支援ニーズを抽出することを目的としている。介護職が、「食事介助場面で感じる困難事象」と「安全支援を行うために感じているニーズ」を明らかにし、安全な食事支援に向けた介護職支援プログラムを検討する。 本年は2年目であり、スケジュール通りインタビュー調査を終えている。困難事象は共通点に加え、調査参加者の所属する施設の種類により差異がある可能性が見出され、詳細については現在、分析準備を進めいている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に計画していた調査の実施は、新型コロナウイルス感染への懸念から協力施設との調整に時間を要したが、予定数のインタビュー調査を実施することができた。調査実施にあたっては協力施設所在県の担当者のみが訪問し、インタビューはオンラインに変更した。また、当初は高齢者介護施設等医療職が不在の時間がある施設のみを対象としていたが、調査対象施設に老人保健施設を追加し、分析には医療職が不在の時間帯がある施設の特徴を医療職常駐施設と比較検討することとした。 現在は逐語録の作成が終了し、分析に向けてデータの整理を行っている。 コロナ禍により延長していた先駆的なケアを実施している高齢者施設への視察は、感染状況を鑑みて令和2年度の実施は中止とした。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は当初の計画に則ってデータの分析を進める。抽出された高齢者の食事支援にあたって介護職が感じている困難事象と支援ニーズを踏まえ、支援プロクラムについて全員で検討する高齢者施設の種類による困難事象やニーズの違いは多様性を反映したプログラムになるようにする。調査対象に老人保健施設を追加したことから、医療職が不在の時間帯がある施設と常駐している施設との共通点及び相違点について比較検討する。 試案したプログラムについては介護職との意見交換を検討しており、実施計画を調整する。意見交換での意見は実装を検討するために不可欠であり、プログラムに反映させる。 高齢者施設への視察は新型コロナウイルスの状況を見て判断する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度より延期していた高齢者施設への視察が中止となっているなどの計画変更があった。これにより支出減があった。
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