研究課題/領域番号 |
19K02285
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研究機関 | 立命館アジア太平洋大学 |
研究代表者 |
木村 力央 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (50517034)
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研究分担者 |
森田 哲也 東京基督教大学, 神学部, 准教授 (30747390)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 社会的企業 / カンボジア / エチオピア / ハイブリッド組織 / 制度ロジック / 批判的実在論 / 宗教性 / 開発援助 |
研究実績の概要 |
カンボジアの調査に関しては、インタビュー・データの分析を終えた。キリスト教に基盤を置く12のカンボジアの社会的企業の類型化の論文を執筆中である。その中で、社会的起業家のアイデンティティーの違いにより、起業した社会的企業のハイブリッド組織構造に違いが発現するというWry & York (2016)の類型化モデルを用いた。さらに批判的実在論が重視する社会構造(市場競争、政治体制、理事会など)を、そのモデルに加味してサンプル社会的企業及び起業家を分析した。その結果それらを、「バランスの取れた起業家」、「ビジネスを重視しがちな起業家」, 「ビジネス及び社会的使命だけを重視する起業家」、そして「社会的使命及び信仰だけを重視する起業家」に分類できた。
エチオピアにおける様々な業種の社会起業家のインタビューサンプル(約40人)の中で、特にキリスト教信仰を基盤として起業をした事例が最も多かった教育セクターに焦点を当てた論文を執筆中である。良質な教育の機会の提供のみならず、その宗教的理念に基づいた道徳教育の提供も視野に入れて設立された「低学費私立学校 low-fee private schools」の経営者のインタビュー・データの分析から、まず宗教性が彼らの起業動機や活動方針に与えた点を、宗教と開発(Religion and Development)についての先行研究と共に議論を展開した。そして、宗教性が具体的な経営実践の中で現れる領域として、貧困世帯を対象とした低学費もしくは無償化といった特別措置があることに注目した。ここでは、宗教的信仰を基盤とした教育プログラムと引替えに、強引に宗教へ勧誘し得る倫理的リスクがある点が浮き彫りになったことから、起業家たちが設立当初に持っていた使命からの逸脱(Mission Drift)を回避するための実践を理解する概念的枠組みについても検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当該年度の主な計画には、宗教的信念や背景を持つ組織をそれぞれのフィールドで現地調査することが含まれていた。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡がりの影響により、受け入れ国での体制が整わないことと、現時点での海外渡航は原則として自粛となっていることを受け、2021年度以降の計画に含むこととした。
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今後の研究の推進方策 |
カンボジアのキリスト教に基盤を置く社会的企業の類型化の論文の執筆を完了し、学術雑誌へ投稿する予定である。エチオピアの教育起業家の宗教的倫理観と使命の逸脱についての概念的枠組みに焦点を当てた論文を2021年度中に完成させ、学術雑誌に投稿予定である。また、新型コロナウイルス感染症の収束状況に応じて、現地調査を2021年度の後半以降に計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:当該年度において計画していた現地調査が新型コロナウイルス感染症の影響で中止となったため。 使用計画:中止になった現地調査を2021年度中に実施したい。
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