研究課題/領域番号 |
19K02285
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研究機関 | 立命館アジア太平洋大学 |
研究代表者 |
木村 力央 立命館アジア太平洋大学, サステイナビリティ観光学部, 教授 (50517034)
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研究分担者 |
森田 哲也 東京基督教大学, 神学部, 准教授 (30747390)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 社会的企業 / カンボジア / エチオピア / ハイブリッド組織 / 制度ロジック / 批判的実在論 / 宗教性 / コロナ過 |
研究実績の概要 |
カンボジアの研究に関しては、以前調査したキリスト教に基盤を置く12のカンボジアの社会的企業の中から、ビジネス収益性、社会的使命、及び宗教性の三つのロジックを両立させていた「バランスの取れた社会的企業」にどのようなコロナ過の影響があったかをはかるために現地調査を実施した(2022年9月11日~21日、プノンペンとシエムレアプ)。コロナ過によるロックダウンやインバウンド観光客減少のため、これらの社会的企業の収益は激減していた。そのような中、調査した二つの社会的企業は、コロナ過にあっても三つのロジックを維持するというレジリアンスを呈していた。もう一つの社会的企業は、ドナーからの資金に依存せざるをえない状態にあった。最後の社会的企業は、倒産に追い込まれていた。レジリアンスを発揮した二つの社会的企業を事例に、ブックチャプターを執筆している。
エチオピアの研究に関しては、キリスト教を基盤とした社会的起業家の中から、特に私立学校を設立した起業家約20名にインタビューを実施した(2022年11月14日~28日、アジスアベバ)。低学費私立学校(low-fee private schools)に着目し、以下の点が明らかになり現在論文を執筆中。1)キリスト教理念に共感する教職員を意図的に雇用し、その理念に基づいた人格教育の提供を競争優位性として打ち立てている。2)活動方針全体に流れる「価値観」としてキリスト教的宗教性を反映させている。3)宗教的なロジックは、持続的な経営を志向するビジネスロジックと対立構図にあるのではなく、それら二つはむしろ相互補完的なものである。制度ロジック論の観点で理論的な分析を更に深める予定。
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