研究課題/領域番号 |
19K02289
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研究機関 | 鳥取短期大学 |
研究代表者 |
菅田 理一 鳥取短期大学, その他部局等, 准教授 (70611383)
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研究分担者 |
菊池 義昭 淑徳大学, その他部局等, その他 (50258927)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 乳幼児保護 / 仏教系育児施設 |
研究実績の概要 |
福田会育児院等の育児施設、その他の里子保護団体の里親養育の意図(目的)について、前年度の収集資料をもとに分析した。全国的な感染症蔓延の影響による移動制限が続いたため、予定していた地域型の里親制度の調査を延期し、里親養育及び里親委託に関する史資料からの事例の抽出作業を中心に進めた。 前年度の収集資料から、大正期及び昭和戦前期は不景気で生活状況が悪化していたこと、それにより一人親世帯からの里親委託の依頼が増加していたこと、委託児童の委託開始時年齢は乳児が最も多かったこと等が判明した。さらに、棄児ではない子どもたちも里親委託できる仕組み作りが求められていたことを確認できた。近畿では都市部から比較的近距離の地域に里親村が形成されていた。そこでは、乳児を里親委託し学齢児になると育児施設に引き取り小学校教育を受けさせるタイプの養育実践が多く見られた。このような里親委託制度と、その他の地域での多様な里親委託制度は並行して行われていた。一方、古くから里親委託がみられた地域から学び、それを他の地域で活かそうとする取り組みは、大正期の公的な調査の実施を機に開始されたとみられる。そのような取り組みは、都市部での新たな里親委託のニーズへ対応することにつながった。 のちに里親村と呼ばれるようになった地域は、救護法による児童施設入所児の増加に対応し、多数の子どもを里子として受け入れた。里親村の里親養育の実践により、里親委託制度は多様なかたちで展開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全国的な感染症蔓延で現地調査の一部を次年度に延期した。全国的な感染症蔓延が収束次第、調査を実施できるよう準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
里子養育が導入された意図、里親制度の目的の解明は進めることができた。次年度は、個別の養護実践事例を発掘し、その特徴を分析する。また、岡山孤児院に関する調査結果をもとに他地域との比較を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
全国的な感染症蔓延が続いているため、調査旅費の使用計画の一部に変更が生じたため。次年度に調査を実施する予定である。
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