研究課題/領域番号 |
19K02290
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研究機関 | 熊本高等専門学校 |
研究代表者 |
勝野 幸司 熊本高等専門学校, 企画運営部, 准教授 (50370052)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 知的障がい者 / 避難生活 / 障がい者計画 / 自然災害 |
研究実績の概要 |
①知的障がい者に配慮した施策の実態把握と課題の抽出 前年度までに行った熊本県を対象とした障がい者計画と地域防災計画の調査に加え、他県の実態把握を行い、比較分析を行った。熊本県は熊本地震の罹災後に上位計画である県の障がい者計画施策の整備が進んだことにより、市町村のばらつきはあるが、他県に比べて施策の具体性が高いことが明らかとなった。このことにより、障がい者のための避難環境の確保のために間接的であるが各県の施策整備の重要性と、罹災の際に怒る様々な問題を市町村や県が事前に予測し、施策で対応することの重要性を指摘することができた。また、以上を踏まえた上で、近隣自治体担当者に対して、個別避難計画等の施策の実施状況と、実施にあたっての課題等についてヒアリング調査を行った。その結果、個人情報保護への配慮が必要なために個別避難計画策定のための情報収集において困難が生じていることなどが明らかとなった。 ②罹災後の障がい者を取り巻く環境変化の実態把握 熊本地震の発生から5年間が経過し、大災害発生時の知的障がい者の避難のための課題や、周辺の意識がどのように変化したかを把握することを目的として、地震発生前から2021年12月までの新聞記事のテキストマイニング分析を行った。地震前には知的障がい者と連関するワードとしては政治経済などが多かったが、地震後は避難や支援などといったワードとの連関が強くなったことや避難とその不便さを想起させる語句の関連性が高くなったことに加え、仮設住宅等の環境整備を促す語の出現が多くなったことなどが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスによる行動制限により当初予定していた通りの研究活動の実施が困難となったため、前年度より研究方法の一部変更を行い、これに基づき研究活動を遂行した。しかしながら、前年度までに研究目的に対して十分な成果が得られていないと判断し、事業期間を1年間延長した。このため、「やや遅れている」と状況とする。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」に示した①施策の現状と実行のための課題抽出と②地震後の知的障がい者を取り巻く環境変化について、継続して調査分析を行う。①については自治体や支援団体等へのヒアリング調査の継続、②については分析するテキストデータの範囲を拡大することと、知的障がい者を対象としている避難先施設の配置状況を地図データを利用して分析することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初出席し発表する予定だった学会がオンライン開催になったことや、行動制限による他県での調査の見送り等により、旅費の支出がなされなかったため、残額が生じた。残額は研究計画に記載した通り、報道資料等の分析を研究活動の一部に加えたため、このための分析ツール(ソフトウェアやGISデータとそのための端末)整備と、対面で学会が開催された場合の参加費として使用することを計画している。
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