研究課題/領域番号 |
19K02291
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
永井 毅 山形大学, 農学部, 教授 (10385502)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 無塩醤油様調味料 / 製造技術開発 / 国産普通小豆 / 国産米 / 国産小麦 / 麹 / 試醸 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、食料自給率の向上と生活習慣病の予防を同時に目指し、消費生活に対応する国産原料(普通小豆、米ならびに小麦)を用いた「機能性豊かな新しい無塩醤油様調味料」の製造技術開発を行うことである。初年度は、日本農林規格(本醸造方式)による「濃口醤油」と「たまり醤油」を対照として、醤油様調味料の試醸を行った。前者①は普通小豆(北海道産)、国産米(うるち、もち)、小麦玄麦(岩手県産ゆきちから)を、後者②は普通小豆、国産米(うるち、もち)を用いることとした。うるち米品種として、平成29年度水稲うるち米の品種別作付動向より上位5品種を選抜し、もち米はヒメノモチを使用した。初めに、種麹(秋田今野商店製「醤油2号菌」)を用いて製麹したところ、もち米を除き良好な麹の調製が可能であった。次に、これらの有する各種酵素活性を、第4回改訂国税庁所定分析法注解に基づき測定した結果、醤油製造に十分な活性を有することを確認した。更にもろみは、食塩水の代わりに5および10%エタノールを用いて小仕込みした。発酵・熟成は室温下で行った。その結果、エタノール濃度に関わらず、②と比較し①の色彩はいずれの無塩醤油様調味料でも市販しょうゆに類似し、液化率も高い傾向が認められた。原料として小麦玄麦を用いた①は、もろみに含有する糖含量が②より高いため、発酵が顕著であり、褐変が観察された。また、いずれの試験区でも、エタノール含量の高いもろみにおいて褐変の進行が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目的は、国産原料を用いた無塩醤油様調味料の製造技術開発のために、①麹の調製、②各種酵素活性測定による麹の力価評価、③食塩水の代わりにエタノールでもろみを小仕込みし、発酵・熟成状況を観察することである。当初予定として、1年間の発酵・熟成期間を設定しているが、現在までおおむね順調に進展しているものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き発酵・熟成状況を観察すると同時に、試醸した無塩醤油様調味料の品質検査をしょうゆ分析法に従い実施し、市販醤油と比較検討する予定である。なお、測定項目は、全窒素、ホルモール窒素、無塩可溶性固形分、糖用屈折示度、食塩、アルコール、色度、水分活性、全糖、直接還元糖、遊離アミノ酸、酸度(I、II)、比重、pH、総フェノール、総フラボノイド、官能検査とする。一方、食塩水で仕込まないため、呈味に課題が残ると予想される。その改善策も併せて検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
相当の節約を心掛けて今年度の研究課題を実施した。一方、次年度では、前年度の課題解決に向けた改善を併せて行う必要から次年度使用額が生じた。
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