研究課題/領域番号 |
19K02294
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研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
延原 理恵 京都教育大学, 教育学部, 教授 (40310718)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 住教育 / 地域居住 / 住まい・まちづくり / 住まい方 |
研究実績の概要 |
人口減少社会に突入した現代社会において、家族形態の多様化や機能の変容が見られ、それとともに多様な住まい方が出現している。本研究では、現代社会の諸課題とともに多様な住まい方に目を向けた住教育のあり方を検討することを目的としている。昨年度に引き続き、住教育で取り扱う内容を現代社会の課題とともに、多様化するライフスタイルと住まいの関係から再検討することとし、住まいに関する経験・知識・意識・行動に関するアンケート調査を若者や中高年等の複数世代を対象に実施した。住宅の非木造化、和室や床の間等の減少、伝統行事や近所との関わりの変化が見られ、それに伴い「敷居」「上棟式」のような伝統的な住まいに関する用語の認知度が低下していた。また、デジタル化や生活環境の変化は、住まいに関する経験や知識、住まい・まちづくり意識に影響を及ぼしており、年齢層に応じて求められる住要求や住情報が変化することが明らかとなった。このことから、住教育プログラムは、社会変化に応じた内容の検討ともに、ライフコースやライフステージに応じた住教育プログラムの内容や提供方法を検討することも重要であり、学校教育や生涯学習としての住教育プログラムを構築することが必要であることがわかった。 これらのことを踏まえ、小学生を対象とした住生活上の防災学習を記憶に残るプログラム内容とするための手がかりを得ることを目的に、小学校現場でのヒアリングや大学生を対象に小学校時代の防災教育に関するアンケート調査を行った。また、学校教育における住教育プログラムとして、中学校家庭科において複数の現代的住生活課題についてとり上げることが可能な住空間学習ICT教材を現職の中学校教員とともに開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、訪問調査や学校現場での実践的研究の実施に支障が出ていた影響に加え、今年度もコロナ禍による制限があったため、開発した住教育プログラムを実践して検証する段階までいたらなかった。学校現場での実践や訪問調査に代わる研究に変更し、住教育プログラムの開発を行った。よって、進展はあったものの、予定どおりとはいかず「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
開発した住教育プログラムを実践する際、対象者の住まいに関する経験・知識・意識・行動には世代による違いや変化があり、これらを踏まえておく必要があった。2023年度は開発中の住教育プログラムについて、対象者の住まいに関する経験・知識・意識・行動の世代による違いや変化と照合させながら、完成度を高めるべく検討を進める。また、世代の他、住まいの地域性についても考慮する必要があるか検討するため、異なる地域において住まいに関する経験や知識を把握するためのアンケート調査を実施する予定である。その結果を分析し、住教育プログラムへ反映させ、実践や有効性の検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症流行による制限があり、予定していた訪問調査や学校現場での実践的研究の実施が困難であったこと、またこれに伴い、開発した住教育プログラムを実践して検証する段階までいたらなかった。これらの事情により、予定していた出張旅費や実践的研究に伴う謝金を使用する機会がなかったことが主な理由である。次年度は、開発した住教育プログラムの内容を再検討するための資料を得たいと考えている。そのため、住まいに関する経験や知識、意識、行動を把握するためのアンケート調査を実施する予定である。
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