研究期間全体を通じて、人口減少に伴う社会問題と密接に関係する住まい方に着目して高等学校での地域学習のヒアリングやアンケート調査等から多様な実例や実態について検討した。地域の人口流出入傾向から若者の転出入に着目し、若者の地元に対する好嫌度とその理由、地域資源やUターンに対する考えを調査し、地域学習では地元でのコミュニティや人とのかかわりは重要な要素であること明らかとなった。そこで、人口減少に伴う住生活の課題を取り上げ、地域のコミュニティや人とのかかわりを重視した住教育プログラムを開発した。 現代社会の課題とともに多様なライフスタイルや家族形態と住まい方を分類整理し、住教育プログラムで取りあげる内容を精選した。また、若者、中高年等の複数世代を対象にした調査から、多様なライフスタイルや住生活の変容が明らかとなり、社会変化やライフステージに応じた住教育プログラムの内容や提供方法を検討することが重要であることがわかった。高校生や大学生に向けては、多様なライフコースをたどりながら、これらの内容について学習するゲーミング教材を試作し、実践を行った。小学生に向けては、地域に目を向け地域とかかわる活動を取り入れた住教育プログラムを検討し、実践した。 とくに最終年度では、学校現場や生活経営の専門家等と意見交換し、高等学校家庭科で活用できる人生ゲーム型教材について再検討を行った。また、研究成果を広報するため、前年度までに地元でのコミュニティや人とのかかわりを重視した住教育プログラム(地元の森林を活用した環境改善の開発と実践)については、小学校での授業実践結果をまとめるとともに、人口減少による空き家問題や社会の変容によって取り壊しの進んでいる住宅問題に対して、地域の風土に根ざした住宅について知り、地域の住まいのあり方について考えるためのペーパークラフト教材を製作した。
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