研究課題/領域番号 |
19K02296
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
村田 芳博 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (40377031)
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研究分担者 |
奥谷 文乃 高知大学, 教育研究部医療学系看護学部門, 教授 (10194490)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 辛味 / 嗜好性 / 受容体 / 一塩基多型 |
研究実績の概要 |
研究代表者は近年、本学医学科学生を対象とした辛味閾値に関する探索的研究で、辛味に敏感な人(辛味高感受性群=辛味低閾値群)が一定数存在することを発見した。本研究は、辛味感受性の違いがもたらす食嗜好、辛味感受性の違いを生み出す遺伝的背景を明らかにすることが目的である。 本年度も引き続き、辛味高感受性を生み出す遺伝的背景の解析を重点的に行った。具体的には、遺伝的背景として辛味受容体遺伝子TRPV1に着目しその一塩基多型(SNP)と辛味感受性(トウガラシの辛味成分であるカプサイシンに対する検知閾値)との相関を解析した。カプサイシンの検知閾値の測定は、基本味の認知閾値を測定する臨床検査法・濾紙ディスク法に準じて行った。その結果、解析対象サンプル数を増やしても、探索的研究と同じく1)検知閾値の個人差が極めて大きく、2)その分布は低閾値群と高閾値群の二峰性を示した。辛味受容体遺伝子TRPV1のSNP解析は、exon領域の既知SNP数箇所を対象としてリアルタイムPCR法により行った。その上で上記の低閾値群・高閾値群の2群間でハプロタイプ(SNPの組み合わせ)解析を行ったところ、7通りのハプロタイプが存在することが分かった。このうち、ある1通りのハプロタイプが高閾値群に特異的であることが分かった。日本人の辛味感受性は、各個人の遺伝的背景、具体的には辛味受容体の遺伝子多型によって左右される可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ収集、データ解析、ともに当初の計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
食嗜好性に関する解析を加えて、論文投稿準備中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、学会参加がオンラインとなったことが原因である。これは翌年度分として、論文投稿費用の補充(近年の経費高騰に伴う措置)に充てる予定である。
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