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2019 年度 実施状況報告書

鉄欠乏状態によるビタミンB12代謝を介した骨特異的エピジェネティクス変動の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K02302
研究機関東京農業大学

研究代表者

井上 博文  東京農業大学, 応用生物科学部, 助教 (10639305)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード鉄欠乏 / タンパク質のメチル化 / PRMTs
研究実績の概要

これまでに我々は、DNAマイクロアレイ解析の結果から、鉄キレート剤であるDFO処理細胞ではタンパク質メチル基転移酵素であるPRMT1, PRMT3の遺伝子発現が低下することを明らかにしている。しかしながら、これまでに鉄欠乏状態とタンパク質のメチル化修飾との関係については報告がない。そこで本研究では、ラット肝臓由来細胞であるFAO細胞を用いて、鉄欠乏状態とメチル化修飾との関連を明らかにすることを目的とした。
まず、FAO細胞に2種類の鉄キレート剤DFOおよびdeferasirox (DFX)を24時間処理後、PRMT1, PRMT3遺伝子について定量的PCR法を用いた解析を行った。その結果、DNAマイクロアレイ解析と同様に鉄欠乏条件下で、いずれの遺伝子発現も減少した。続いて、鉄欠乏状態がPRMT1, PRMT3を介してタンパク質のメチル化を制御しているのか否かについてwestern blotによる解析を行った。その結果、PRMT1, PRMT3および総メチル化タンパク質の発現は、無処理群に比し鉄キレート剤(DFOおよびDFX)処理により減少した。次に、これらの減少が鉄欠乏によるものか否かを明らかにするために、DFOまたはDFX単独処理に対してholo-transferrin(50uM, 6時間処理)を添加する鉄レスキュー実験を行った。その結果、holo-transferrin添加はDFOおよびDFX処理によるPRMT1および総メチル化タンパク質の減少を抑制した。
以上により、鉄欠乏状態はメチオニン代謝を減弱させることに加え、タンパク質のメチル化を負に制御していることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究自体は予定より、やや遅れている。当初は動物モデルを行う予定であったが、本学の諸事情(大規模引っ越し)が重なったため、十分に時間をとることができなかったことが要因である。一方で、培養細胞系での論文投稿を行った(投稿中)

今後の研究の推進方策

本研究課題はやや遅れてはいるが、大きな変更はなく研究を進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

本学の諸事情により動物試験を行う予定ができなかったため、次年度に繰り越すこととなった。そのため、当初(2年目)予定通り、動物試験を実施する予定ではあるが、測定項目上、追加で動物試験を行う必要があるため計画を再構築する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 2019

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [学会発表] 鉄欠乏状態による骨脆弱化とビタミン類の体内変動2020

    • 著者名/発表者名
      井上博文、勝間田真一、斎藤 彰宏、勝間田(坪井)理恵、田中未央里、高橋信之、上原万里子
    • 学会等名
      レドックス・ライフイノベーション第170委員会 20周年記念若手シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 鉄欠乏状態はPRMT1発現の減少を介してタンパク質メチル化修飾を減弱させる2019

    • 著者名/発表者名
      井上 博文、塙 信彰、勝間田 真一、勝間田(坪井) 理恵、高橋 信之、上原 万里子
    • 学会等名
      第73回日本栄養・食糧学会大会
  • [学会発表] 鉄欠乏状態がタンパク質のメチル化修飾に及ぼす影響2019

    • 著者名/発表者名
      井上 博文、勝間田(坪井) 理恵、田中 未央里、高橋 信之、上原 万里子
    • 学会等名
      第58回日本食生活学会
  • [学会発表] 鉄欠乏状態はタンパク質メチル化修飾を負に制御する2019

    • 著者名/発表者名
      井上 博文、勝間田(坪井) 理恵、田中 未央里、高橋 信之、上原 万里子
    • 学会等名
      第30回日本微量元素学会学術集会
  • [学会発表] Effects of iron deficiency on reactive oxygen species and intracellular homeostasis2019

    • 著者名/発表者名
      Hirofumi Inoue, Shin-Ichi Katsumata, Rie Katsumata-Tsuboi, Miori Tanaka, Nobuyuki Takahashi, Mariko Uehara
    • 学会等名
      The 7th International Conference on Food Factors
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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