研究実績の概要 |
昨年度までに我々は、DNAマイクロアレイ解析の結果から、鉄キレート剤であるDFO処理細胞ではタンパク質メチル基転移酵素であるPRMT1, PRMT3の遺伝子発現が低下することを明らかにし、これがholo transferrinの処理によりPRMT1およびPRMT3の発現が改善することを明らかにした。そこで本年度は動物試験を行い、培養細胞と同様の結果が得られるのかについて検討を行った。具体的には、ICR雄性マウスを用い、通常食(AIN93G)と鉄欠乏食を4週間摂餌させた。本飼育終了後、肝臓および骨を採取し、肝臓はタンパク質および遺伝子発現を、骨においては遺伝子発現について解析を各々行った。その結果、通常食(AIN93G)に比し、鉄欠乏食を投与したラット肝臓においてメチル基転移酵素であるPRMT1およびPRMT3は減少した。メチル化タンパク質においても同様の結果となった。続いて、骨からRNAを抽出し、PRMT1とPRMT3の遺伝子発現について解析した結果、こちらは有意な結果を得ることが出来なかった。 以上により、動物試験と培養細胞の試験から、鉄欠乏状態は肝臓におけるPRMT1とPRMT3発現を抑制を介してメチオニン代謝させ、タンパク質のメチル化状態を負に制御することを明らかにした。
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