研究課題/領域番号 |
19K02305
|
研究機関 | 愛知淑徳大学 |
研究代表者 |
菅野 友美 愛知淑徳大学, 健康医療科学部, 教授 (10298482)
|
研究分担者 |
三宅 義明 愛知淑徳大学, 健康医療科学部, 教授 (20369581)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | キノコ / ラジカル消去活性 / 機能性成分 / ミネラル含量 |
研究実績の概要 |
キノコの機能性を科学的な面から解明し、食生活へ普及させることを目的に、本年度はラジカル消去活性の高い部位からラジカル消去活性成分の精製を試みるとともに、ESRで観察された鉄イオン、銅イオン、マンガンイオンの3種のミネラルについて、キノコ中の含有量を測定し、ラジカル消去活性との関連を検討した。 昨年度までの研究で明らかになったラジカル消去活性の高いCoprinus comatusの粉末を用いてメタノール抽出を行った。抽出液を高速液体クロマトグラフィーで分析した。分析条件は、逆相カラム(YMC-Park ODS-A)、検出波長280nm、流速1mL/minで行った。移動相についてはメタノールを0分~30分で100%へ直線的勾配変化させた。13本のピークを分取し、DPPHラジカル消去活性を測定した結果、メタノール5~10%で溶出するピークが最も高い活性を示した。そこで、C. comatusの粉末200gを用いてメタノール抽出し、活性の高いピークを分離精製したが、数mgしか得られなかった。構造分析も行ったが、単離できていなかった。しかし、水酸基、ケトン基をもつ親水性のラジカル消去物質が存在することが推察された。 昨年度にラジカル消去活性を測定した4種のキノコの各部位の凍結乾燥粉末を塩酸抽出し、ミネラル(鉄、銅、マンガン)を定量した。キノコ部位の中で鉄含量が最も高いのは菌さんで、キノコの部位によって鉄含量が異なることが明らかになった。粉末1gあたりのヒドロキシルラジカル消去活性と3種のミネラル含量の関係を調べた結果、ヒドロキシルラジカル消去活性と鉄含量との間に相関はみられなかったが、マンガン含量との間に有意な負の相関がみられた。また活性と銅含量との間には有意な正の相関がみられたことから銅結合物質がラジカル消去活性に影響を及ぼすことが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Coprinus comatus中のラジカル消去物質を単離、構造決定する予定であったが、構造決定までいたらなかった。そのため、調理加工特性の検討まで進まなかった。しかし、キノコ部位のミネラル(鉄、銅、マンガン)含有量を測定することができ、ラジカル消去活性との関連が明らかになった。
|
今後の研究の推進方策 |
計画では、キノコの機能性などに対する意識調査を行い、食育プログラムを実施する予定であったが、COVID-19の感染拡大に伴い、人が集まるイベントを開くのが困難となった。そこで、ラジカル消去物質の単離精製を行うとともに、金属結合タンパク質を分離し、機能性成分の探索を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
発表予定であった、学会の大会がすべて中止になり、学会発表のための出張旅費が使えなかった。また、機能性成分を見出せず、調理加工特性の検討にいたらなかったことで、粘度計を購入しなかったことが、予算に残額が生じた理由である。R3年度は開催可能な学会で発表をおこなうと共に、再度ラジカル消去物質の単離精製を行うため、カラムなどの購入を検討している。
|