「かたさ・やわらかさ」は、さまざまな食品においてテクスチャー評価の主要な観点であり、多くの類義語がある。本課題では、食品のテクスチャー評価や嗜好分析の高度化に資するため、「かたさ」や「やわらかさ」に関連する類義語を整理し、描写する食物名の情報も含めた用語体系を構築する。 前年度までに、「かたさ・やわらかさ」関連用語として184語を収集した。さらに、用語の意味上の親近性から、184語を大分類4(やわらかさの表現/準・やわらかさの表現/準・かたさの表現/かたさの表現)、小分類22(融解・移動しやすい/なめらかに流動する/水分が多く移動しやすい/、等)に階層的に分類した。また、各用語が描写対象とする食物名を収集した。 今年度は、「かたさ・やわらかさ」関連用語184語について、用語間の意味上の親近性データを再解析して用語マップを描いた。その結果、テクスチャー用語全体のマップと、「かたさ・やわらかさ」関連用語のマップは、構造がほぼ同じであり、「かたさ・やわらかさ」がさまざまなテクスチャーを広くカバーする多義的なものであることを示すことができた。 また、184語から消費者認知度の高い29語を代表語として、首都圏在住の消費者400名を対象とするwebアンケートにより、用語のイメージ調査を行った。その結果、例えば、「やわらかい」「クリーミー」等の用語に対する消費者の印象は良く、一方で「かたい」「べちゃべちゃ」等の用語に対する印象は良くない、といったように、用語がもつ印象の良否のデータが得られた。また、「ねばねば」「ゼリー状」等、一部の用語は、描写する食物によって印象の良否が異なることも示された。 以上のデータを統合して、「かたさ・やわらかさ」に関連する用語体系を作成することができた。
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