研究課題/領域番号 |
19K02312
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
大森 桂 山形大学, 地域教育文化学部, 教授 (50344784)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | リテラシー / 食育 / 知識 / スキル |
研究実績の概要 |
食生活の多様化が進む今日、狭義の栄養教育にとどまらない、自己および社会にとってより良い食生活を自ら創造するために必要な資質・能力の総体「フードリテラシー」の育成が非常に重要と考えられる。しかし、国内においては、フードリテラシーの概念自体、未だ浸透しておらず、食育の効果の検証も依然として遅れている。本研究は「フードリテラシーの国際的実態の解明と評価尺度の開発」をテーマとし、研究期間は3年とする。本研究の目的は、グローバル化・複雑化が進む食生活において、我々が身につけるべきフードリテラシーの内容を整理・体系化し、世界初の国際比較調査によりフードリテラシーの実態を明らかにし、汎用性のある評価方法を確立することである。 令和2年度は、80件以上の海外の文献を調査し、フードリテラシーに関する研究の国際的動向を明らかにした。また、先行研究において提案されているフードリテラシーの定義および構成要素を整理し、評価尺度の項目選定のための基礎資料を得ることができた。これらの知見を論文にまとめ、日本家政学会誌への掲載が決定した。さらに、国際的な課題であるSDGsや日本の家庭科教育におけるフードリテラシー教育の意義を考究し、日本家庭科教育学会誌および中学校の技術・家庭科の教科書の教師用指導書に論説した。年度末には、学際的シンポジウムを主催し、これまでの研究成果を広く一般市民にも公開すると共に、食育に対する市民のニーズを調査し、ライフステージやジェンダーに応じて育成すべきフードリテラシーの内容について示唆を得ることができた。さらに、教育学にとどまらず、農学、工学等多面的な視点から、食に関する資質・能力の構成要素についてさらに検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フードリテラシーに関する先行研究の整理や構成要素の体系化は達成できたが、新型コロナウィルス感染拡大のため、海外の先進的な食育カリキュラムの視察が全て叶わず、国際比較のための調査依頼先の開拓を兼ねて参加を予定していた国際学会も延期となったため。また、対面で予定した国内外での予備調査も、学校等の休校により実施できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き新型コロナウィルスの影響により海外渡航が困難であることが予想されるため、海外における先進事例の視察は、オンラインでのインタビューや学会等への参加、インターネットでの情報検索、書籍等文献による調査等、別の手法も加える。評価尺度開発のための海外研究者との打ち合わせや質問紙調査の実施は、オンライン方式に切り替えて実施する方法を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大により、海外の先進事例の視察や研究打ち合わせのための海外渡航が全くできず、発表申し込みをしていた国際学会も開催延期となったため。 使用計画としては、現地インタビューや質問紙調査をオンラインへ切り替え、現地調査の代行者への委託料等として使用する。また、調査データを効率的に集計するためのデータ入力代行経費、集中的に分析や取りまとめをする時間を確保するためのバイアウト経費等として使用することを検討している。
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