2023年度は、2021年度の10月から3月にかけて実施した質問紙調査の結果を2022年度に引き続き分析を行った。2022年度の分析結果から,世帯構造と養育者のかかわりや食意識,子どもの生活状況や食生活満足度との関連は見られないことが示されているが,世帯構造の違いにより,子どもの生活習慣や子どものQOLやSDQが異なるのか検討を行った。その結果,子どもの生活習慣について,子どもの夕食時刻について有意差が認められ,拡大家族の子どもの夕食時刻は早く,核家族の子どもの夕食時刻が遅いことが示された。また,世帯構造の違いにより,子どもの生活の質や精神的健康が異なるのか検討を行った結果,子どもの生活の質に有意差は認められなかった。しかし,世帯構造の違いにより,SDQの下位項目である,行為の問題について有意差が認められ,世帯構造の違いにより,子どもの精神的健康に関する行為の問題について異なることが明らかになった。 本研究で明らかになったことをふまえて,幼児期の子どもの生活や発達に応じた食育ガイドの開発をするための検討を行った。子どもの生活は,世帯構造の違いによらず,ほとんどの場合大人の生活リズムが反映されており,大人の生活リズムを見直すことの重要性が示唆された。そして,世帯構造と子どもの精神的健康には関連があり,子どもの精神的健康,とりわけ行動面においては,世帯構造別にケアを行うことの重要性が見いだされた。
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