研究課題/領域番号 |
19K02333
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
永井 由美子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (90240530)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 特別支援学校 / 温熱環境 / 許容基準値 / アンケート調査 / 温度 / 湿度 / 冷房 / 暖房 |
研究実績の概要 |
「教室等の環境に係る学校環境衛生基準」や「建築物環境衛生管理基準」は、一般的に捉えた温熱環境に関する許容基準値であるが、特に体温調節等に問題を抱えた発達障がいや身体的障がいを有する児童や生徒に対して従来の基準では、温度や相対湿度の許容基準値範囲が幅広く、新たに検討する必要がある。 令和元年度は、特別支援学校及び児童・生徒の自宅の温熱環境測定を実施するために、国内外の先行研究を参考にしてアンケート項目を検討し、アンケート用紙を作成した。なおアンケート項目は、児童・生徒の健康状態、自宅の居間並びに児童・生徒が使用する寝室の冷暖房設備である。 本研究の申請時には、温熱環境測定は、室内の温度のみを測定する計画であったが、他大学の研究者から湿度測定の重要性や、測定の際に配慮すべき点について様々な助言をいただいた。この助言を参考にして、新たにデジタル温湿度計(日置電機 温湿度ロガ―LR5001)を購入した。同時に、児童・生徒の自宅の温熱環境調査の際に使用する測定簡易マニュアルも作成し、児童・生徒の保護者にデジタル温湿度計を自ら設置していだだけるように工夫も行った。また児童・生徒や保護者に対して、デジタル温湿度計やアンケートの配布及び回収に関しても実施要項を作成して調査の準備を進めた。 調査対象校の特別支援学校の校長先生に対して、本研究の詳しい趣旨説明を行い、研究協力の了承を得た。さらに、大阪府内の小学校に通学する児童の保護者に対しても同様に本研究の説明を行い、研究協力の要請を行った。このように調査対象に対する調整を行った後、大阪教育大学倫理委員会に研究計画書を提出し、研究実施の承認を得た。 令和2年1月までは順調に研究を進めてきたが、2月に情報発信された新型コロナウイルスの影響により、2月に実施する冬季における児童・生徒の自宅の温熱環境測定の実施が出来ない状況になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和元年度は、研究実績の概要に記載したように、アンケート用紙の作成、測定の機材の購入・準備、測定マニュアルの作成、円滑な研究協力体制の構築、研究の倫理委員会への申請と承認と計画通り順調に研究を推進することができた。 しかしながら、平成2年2月に報道機関から情報発信された新型コロナウイルスの感染状況により、2月中旬から下旬に実施する予定だった冬季の特別支援学校並びに児童・生徒の自宅の温熱環境測定を中止することになった。デジタル温湿度計を渡す際、または回収する際には、温湿度計をアルコール消毒して万全な状態な状態で受け渡しは可能だとしても、仮に、新型コロナウイルスが付着し汚染することにより、児童・生徒の健康に重大な影響を及ぼすことだけは絶対に避けなけなければならない。 研究を推進するよりも児童・生徒や保護者の健康や安全を第一に優先するために、冬季の測定を中止するという苦渋の決断に至った。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの影響により、令和2年度の夏季の特別支援学校並びに児童・生徒の自宅の温熱環境測定は中止する。学校が再開して間もない状態で、特別支援学校の教職員が一丸となって新型コロナウイルス感染予防に全力を尽くされている最中に、調査協力を求めるのは倫理的に厳しいと考える。 そこで今年度は、昨年度に引き続き海外の学校の温熱調査の論文を整理する。11月頃に新型コロナウイルス感染が収束する状況ならば、冬季の調査は研究計画通りに実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
冬季の児童・生徒の自宅での温熱環境測定の際に、調査協力をしてくださった保護者への謝金が、新型コロナウイルスによる影響のため調査中止となり、当初計画していた予算執行が出来なかった。
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