研究実績の概要 |
本研究の目的は酒粕などの各種食発酵食品から、樹状細胞の抗原識別能力を利用し、抗アレルギー効果を持つ有用菌種を同定することである。令和2年度には、蛍光ユビキチン間のFRETを指標として、Th1誘導能力を認めた食品から株化した乳酸菌のユビキチン鎖蓄積能力、Th1誘導能力を検証した。これらの乳酸菌を樹状細胞に添加すると、細胞内のユビキチン鎖が蓄積するとともに、IFN-β、IL-12などのTh1サイトカインを誘導する。しかし、ユビキチン鎖蓄積能力、Th1サイトカイン誘導能力は、同定した発酵食品とそこから株化した菌、及び株化した菌の間で顕著な差異が存在する。現在、これらの差異の原因を解析するとともに、株化した菌のゲノム解析による同定、株化した菌の抗アレルギー効果をマウスの個体レベルで検証を行なっている。 これまでの研究結果は、樹状細胞内の抗原の輸送経路については、「Imai J, Ohashi S, Sakai T. Endoplasmic Reticulum-Associated Degradation-Dependent Processing in Cross-Presentation and Its Potential for Dendritic Cell Vaccinations. Pharmaceutics. (2020), 13, 12, pii: E153.」として、この光学的定量法を活用した抗アレルギー有用菌の同定方法は「Imai J, Koganezawa Y, Sakai T. Dendritic cells as a detecting unit for beneficial anti-allergy microbes. The Allergy in Practice. (2020), 40(6) 13-17.」として発表した。
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