研究課題/領域番号 |
19K02341
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研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
饗場 直美 神奈川工科大学, 健康医療科学部, 教授 (50199220)
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研究分担者 |
金田 雅代 女子栄養大学, 付置研究所, 客員教授 (30413066)
榊 順子 鹿児島純心女子短期大学, その他部局等, 教授 (50806586)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 栄養教諭 / 学校給食 / 食育 / 連携 |
研究実績の概要 |
研究フィールドである9県において、学校給食を「生きた教材」として活用した食育実施のための調査研究を実施した。教材としての学校給食の献立内容の検討や、教科や給食時の食育指導の展開法について各県での実践的取り組みを通して検討した。 これまでに収集された学校給食献立のデータベースおよび新たに収集した食塩に注目して作成した献立食塩データベースをもとに、食塩相当量の新たな摂取基準を達成した学校給食献立を作成するための減塩の方法について多方面からの検討を行った。特に給食の客観的指標である残食率に注目し、食塩量と主食の残食率との関連性を献立種別に検討を行った。また、調理形態から見た食塩量と献立内容について検討を行った。 またこれまでの研究成果や本研究から得られた科学的根拠に基づいた食育の展開を目指した実践研究に着手した。まず、学校給食の食育のモデルとなる指導案を作成し、給食を教材として活用した食育を実施し、その効果について評価を行うパイロット研究を実施した。学校給食では6月を中心に咀嚼について食育が実施されるが、栄養教諭が教材を作成し、教諭の協力を得ながら、継続的に学校全体で取り組むことによる咀嚼に関する食育の教育効果について評価した。 栄養教諭・学校栄養士は学校において一人職種であることから、給食時間に給食を教材として食育が実施されるためには、栄養教諭・学校栄養士と教科や担任教諭らとの連携が不可欠である。小中学校の教諭を対象としたアンケート調査に基づいて、教職員の食育の認識やや意識について検討した結果、中学校の食育展開が小学校に比べ低いことが福島県の調査で明らかになった。、
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、9県(鹿児島、広島、島根、香川、滋賀、岐阜、富山、福島、福井)の栄養教諭からなる研究会をもとに調査研究を実施している。2020年度は新型コロナ感染蔓延による4月からの緊急事態宣言に伴う学校休校があり、学校での給食業務や食育実施が通常通りには実施できなかった。また、県をまたぐ出張等や多人数での会合が禁止され対面での研究調査及び打ち合わせが困難な状況にあった。したがって、研究の解析等についても、班員が集まっての解析がむつかしく、研究の進捗状況はやや遅れている。研究代表者が各県での対面の打ち合わせができないことへの対処として、オンラインの会議を実施するための設備投資を行い、オンラインでの会議を開催することによって、研究の進捗をある程度保持することができている。また、学会においても、WEBでの参加にとどまっているが、発表を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度においても、新型コロナ感染蔓延の影響により、県をまたいだ移動が当面困難と考えられる。また、感染の広がりによっては、学校休校等の処置や学校給食の変更が考えらえる。現在の給食時間における学校での給食の実施状況は、共食が禁止され、個人個人で食事をしている状況であり、共食を伴う食育が困難な状況であり、実際の食指導もむつかしいと考えらえる。したがって、実際の給食時間での食育実施は新型コロナ感染予防対策の中での食育の在り方についてその方向性を転換する必要があり、今後検討することとしている。 これまでに得られている給食献立塩分データベースの解析は今後とも解析が可能であり、学校給食摂取基準に沿った給食献立作成のための献立研究に重点を置き、給食の教材としての質を向上させることを目指す。また、教職員との連携を図るための、栄養教諭から学級担任へのアプローチの方法についての検討を継続する。 新型コロナ感染蔓延により、児童生徒の給食の状況を一転させたことから、子どもたちへのストレスとなっている可能性がある。児童生徒の新型コロナ感染蔓延下における審がコロナ感染対策をしながらの給食摂食に対しての児童生徒の心的状況についての実態調査を行い、児童生徒へのストレス回避について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染蔓延による繰り返された非常事態宣言発出により、すべての出張が不可能となった。本研究の研究費では、全国での研究実施及び会議のための出張旅費を中心に計上されていたが、2020年度においては出張が不可能となったため、主な使用途である旅費が0円となり、次年度使用額が生じている。2021年度は、出張が可能になれば旅費として使用するとともに、オンライン会議等実施への設備投資を行い、また、最終年度であることから、研究のまとめのために必要な機器及びソフト等にとして物品およびその他の使途で使用する。
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