本研究は地域子育て支援拠点事業が虐待予防、養育力向上に資する地域の子育ての拠点として持続可能なものとなるように地域に応じた多機能及び機能強化の可能性について検討するものである。 2019年度は、拠点施設担当者の研修とニーズ調査、プログラム評価を同時進行し、その詳細および結果を学会で報告した。しかし後半に予定していた研修はコロナ禍のため急遽中止となった。 2020年度は、県内調査を実施、研修会は4回開催した。3回はコロナ禍のため自治体レベルで20名前後の規模で、1回は県内を対象にリモートで開催した。コロナ禍における拠点施設の在り方や新型コロナウイルス感染症対策の基本などニーズ調査を反映したプログラムとした。コロナ禍前後で研修ニーズは変化し、コロナ禍における保護者の理解、子どもの育ちへの懸念に関しての研修が求められていた。拠点施設の質向上のためニーズに即した研修の重要性、公営と民営の格差がない情報提供、支援策や連携が必要であり、子育て世代包括支援センターがとりまとめて推進していくことが望ましいが十分に機能していない。またオンラインなどのICTを活用した支援等は、現場の自助努力を期待するのではなく早急に構築すべき分野であり、積極的に介入し自治体や専門機関の協力・連携の下に進めていく必要がある。 そこで研究最終年度である2021年度は、前年度に実施した県内全域調査の再分析を行うとともに、県内29市町のコロナ禍における拠点施設の稼働状態と共に活動の質及び多機能化の実態とヒアリング調査を実施した。コロナ禍で拠点施設の稼働に関する重点の置き方に自治体格差がみられた。またコロナ禍における拠点の継続的な支援のためのICT活用研修、コロナ禍の拠点における具体的な感染対策のリーフレットを作成し活用した研修を実施した。これら一連の研究および提言について報告書を作成した。
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