研究課題/領域番号 |
19K02346
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
村田 久 目白大学, 人間学部, 准教授 (80350445)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 田園回帰 / 国際比較 |
研究実績の概要 |
ヨーロッパでは、工業化により都市に集中した人口は脱工業化により人口の反転現象(=人口減少社会)が起こり、田園回帰現象が生じると考えられており、1973年の石油ショックでは既にそのような現象が確認されている。しかし、日本では田園回帰願望は増大していると考えられている。日本の人口動態データからは、田園回帰は起こらず、都心回帰が起こっている。既存データ(内閣府「国民生活に関する世論調査」「社会意識に関する世論調査」)の分析からは、田園・農村部では、近所付き合いを親密にし、家族の絆を強め、治安の心配なく、毎日の生活をみんなで楽しむイメージがあるが、データ上ではそうではなく、むしろ以前の都市型ライフスタイルが浸透していることが示された。一方で、大都市において、住民での助け合い、治安の良さ、日々の生活を充実させるなど田園・農村型に回帰しつつあることが示唆された。 ニュージーランドと日本の保育に関するヒアリング調査からは、日本での多くの保育園や幼稚園での保育内容、環境構成は異なるものであったが、中山間地域において園児数が少数で混合保育を実施している園との雰囲気の共通性を見出した。人口減少時代に入り、地域の子どもの数、とりわけ中山間地域の子どもの数は減少している。園児数が20人未満の幼稚園が全国で8%(約1000園)、へき地保育所においても園児数20人以下が約700園存在している。今後は都市部においても過疎化地帯の出現が想定され、地域の状況に応じた多極化が進行しているといえる。このような状況下で今日まで行ってきたように全国一律の保育制度、カリキュラムの実施には限界があり、ニュージーランドの保育及び中山間地域の保育に学べる点が多いことを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ渦の影響により、現地に赴いてのフィールドワークの実施が困難であった。既存データの再分析及びズーム等を使用したヒアリング調査の実施に留まった。
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今後の研究の推進方策 |
中山間地域該当地域に赴いてのフィールド―ワークを実施し、現状を示す量的データ、質的情報の直接的な収集を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度においてはコロナの影響により、非常事態宣言期間が長く現地に赴いてのフィールドワーク、社会調査の実施が困難であった。2022年度においては行動制限が緩和されており、現地訪問の理解が進むと考えられ、研究計画にあった予定を進めていくことができる状況にある。2021年度に予定されていた調査を速やかに実施していく。
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