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2019 年度 実施状況報告書

セリアック病の発症メカニズムの解明と食品成分による抑制

研究課題

研究課題/領域番号 19K02347
研究機関九州産業大学

研究代表者

高杉 美佳子  九州産業大学, 生命科学部, 准教授 (60305802)

研究分担者 新井 博文  北見工業大学, 工学部, 教授 (70295848)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードセリアック病 / 小麦グルテン / 腸管透過性
研究実績の概要

セリアック病の発症メカニズムの解明および食品成分による症状緩和を最終目的として、グリアジン未消化 ペプチドの腸管透過性亢進作用、細胞内シグナル伝達への影響を検討した。
まず、小麦グリアジンおよび比較対象となるウシ血清アルブミン (BSA) をペプシンおよびパンクレアチンで人工消化し、加熱により消化酵素の失活を行った。グリアジンおよびBSAの未消化ペプチドを含む人工消化物 (PTGおよびPTB) は凍結乾燥し、SDS-PAGEでタンパク質が低分子のペプチドまで分解されていることを確認した。
ヒト結腸癌由来細胞株Caco-2をトランスウェルのインサート上で3週間程度培養して小腸上皮様細胞に分化させ、細胞透過 性の評価を試みた。しかし、細胞膜電気抵抗値の上昇が非常に少なく、透過性の評価をするための十分な密着結合 (タイトジャンクション; TJ) が形成されていないと推測された。これについては培養条件等の再検討を行っている。
TJ構成タンパク質は、ERK1/2経路の活性化 (リン酸化) によって その発現が制御されていることが報告されていることから、小腸上皮様細胞に分化させたCaco-2にPTGを添加してインキュベートした後に細胞を回収・可溶化し、ERK1/2のリン酸化の程度を調べた。その結果、PTGはERK1/2のリン酸化を促進する傾向が認められた。また、ERK1/2の上流シグナル分子であるMEKのリン酸化の程度も同様に解析を行った結果、PTGはMEKのリン酸化も促進する傾向が認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ヒト結腸癌由来細胞株Caco-2をトランスウェルのインサート上で3週間程度培養して小腸上皮様細胞に分化させ、細胞透過 性の評価を試みているが、細胞膜電気抵抗値の上昇が非常に少なく、透過性の評価をするための十分な TJ が形成されていないと考えられ、細胞透過性に関する実験が行われていない。Caco-2はヘテロな細胞集団であり、実験に用いるまでの継代方法などによって研究室ごとに細胞の性質が変わることが報告されている。したがって、本研究室では何らかの理由により TJ 形成が少ない細胞集団になってしまっていると考えられる。

今後の研究の推進方策

細胞透過性に関する実験系に関しては、関連分野の文献を精査し、TJ形成をもたらす条件を確立させる。また、Caco-2は複数の細胞バンクからロットが異なる細胞が入手可能であることから、現有細胞株での実験系確立が困難であると判断された場合には、異なるロットの細胞株を入手するなどの対策をとる。
シグナル伝達経路への影響については、MEK・ERKの活性化 (リン酸化) の経時的変化を詳細に調べるとともに、TJ構成タンパク質の発現を制御するその他のシグナル分子 (NF-kB経路、Akt経路) についてもリン酸化に及ぼす影響を調べる。

次年度使用額が生じた理由

サンプルを用いた細胞透過性の実験が行えなかったために次年度使用が生じた。細胞透過性の実験系の確立または新しい細胞を購入し、細胞透過性に関する実験を行う。

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公開日: 2021-01-27  

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