R4年度は飲食店の調理環境のふきとりサンプルを新たに入手することができなかったので、これまでに実施した食中毒発生後の原因究明のために実施したふきとり検査データをまとめた。2017~21年に食中毒あるいは有症苦情発生施設5施設の原因究明調査として食中毒発生直後に飲食店から69検体のふきとり材料を採取し、培養法とリアルタイム定量PCR法(qPCR)によりカンピロバクター(C. jejuni/ C. coli)の検出を試みた。その結果、5施設由来11検体(15.9%)がカンピロバクター遺伝子陽性と判定された。10検体からC. jejuniが、1検体からC. jejuniおよびC. coliが検出された。培養法では全てのふきとり材料からカンピロバクターは検出されなかった。複数施設においてカンピロバクター遺伝子が検出されたのは、冷蔵庫内部が2施設2検体、冷蔵庫あるいは製氷機とっ手が2施設2検体であった。コップやデザート用作業台からカンピロバクター遺伝子が検出された施設もあり、生鶏肉取扱いの際に、調理環境中で広く交差汚染をしていることが示唆された。
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