研究実績の概要 |
昨年度は、通常食、高脂肪食(HFD)、ストレプトゾトシン(STZ)+HFDの3群で摂食行動と病態発症について検討を行っていたが、昨年度までのSTZ接種量では、実験途中でのマウスの死亡率が高く、再現実験が困難だったことから、今年度は改めてモデル作製の検討を行った。これまで、生後間もなくSTZ200 μgを接種していたが、STZの接種のタイミングをわずかに遅らせ、また200 μgだけでなく100 μg接種においても病態発症の検討を行った。その結果、STZの接種のタイミングや量を変更することによって、実験途中でのマウスの死亡率は0-28%に低下した。STZを接種せず、高脂肪食のみを与えた群(HFD群)のように肥満は伴わないものの、STZ接種後に高脂肪食をあたえた(STZ100+HFD, STZ200+HFD)群では、肝臓の肥大および肝臓局所への脂肪蓄積が確認された。さらにFLIPのアルゴリズムをもとに病理診断を行った結果、HFD群ではNAFLD/NASH様の病変は確認されず、STZ100+HFD、STZ200+HFD群ではNAFLD/NASH様の病変が確認された。 また、本研究では病態発症時の摂食行動に着目しているため、飼育期間中の摂食量の測定を行った。その結果、HFD群と比較して体重当たりの摂食量はSTZ100+HFD、STZ200+HFDの順でHFD群よりも増加していた。さらに、視床下部におけるNPYの発現量がいずれの群もHFD群より増加傾向を示した。本研究で用いたモデルは、肥満は伴わないものの、摂食行動自体は亢進していることが示唆された。一方、脂質嗜好性との関連が示唆されているストレスマーカーについてもいくつか検討を行ったが、今年度調べた因子のなかでは非NAFLD/NASH群と差は見られなかった。
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