昨年度に引き続き、インスリン分泌不全2型糖尿病を背景に、エネルギーの過剰摂取により病態を発症するストレプトゾトシン(STZ)および高脂肪食誘導性非アルコール性脂肪性肝疾患/非アルコール性脂肪肝炎(NAFLD/NASH)病態モデルマウスを用いて病態発症における摂食行動の変化や摂食に関わる末梢および中枢の摂食シグナルに関わる因子の解析を行った。昨年度までに高脂肪食(HFD)摂食群よりもSTZ100 μg接種およびHFD摂食(STZ100+HFD)群、STZ 200 μ接種およびHFD摂食(STZ200+HFD)群の方が、体重当たりの摂食量が増加傾向を示し、さらにHFDではNAFLDを発症していないのに対し、STZ100+HFD、STZ200+HFDではNAFLD/NASHを発症していることを確認した。摂食行動において、末梢では、血糖値、インスリン分泌の上昇、レプチン分泌の上昇が食欲の抑制に働くことが知られている。今回、非絶食下において解剖を行い、各種因子の測定を行った結果、HFD群と比較して、STZ100+HFDおよびSTZ200+HFD群では、血糖値の上昇が確認されたが、インスリンおよびレプチンは低値を示した。さらに、摂食行動の変化には脳内の小胞体ストレスや炎症等の関与が知られていることから、視床下部における小胞体ストレスのマーカーや炎症マーカーの測定を行った。しかしながら、今回HFD群とSTZ100+HFDおよびSTZ200+HFD群の間に差は認められなかった。
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