研究実績の概要 |
東京都北区の地下水を水槽6台に入れ、液肥を毎週加えながら藻類を自然発生させ生育させた。各水槽で生育した藻類を次世代シーケンサーで同定し、3種類についてはおよその種を判定できたが、その他については判定できなかったため次年度に継続して同定実験を行うことになった。6種類のうち3種類の藻類(藻類A,B,Cとする)について硝酸態窒素濃度低減効果を検討した。実験方法は、水槽中で生育させた各藻類を回収し、試料水(北区の地下水)に入れ1週間予備培養を行った後、遠心分離機で藻類を脱水し脱水後の藻類を0.2 g,0.5 g,1.0g,1.5g(n=3)ずつ精秤し試料水75 mLずつ分注した100 mL三角フラスコに入れ、26℃で24時間震盪させながら藻類と試料水を接触させた。この際、実験操作を行わない試料水の群(原水群)と実験操作は同様に行うが藻類を入れない群(対照群;CN群)を設定した。24時間接触後、ろ紙ろ過し藻類とろ液を分離し、ろ液を分析用のサンプルとした。サンプルはpH測定後、イオンクロマトグラフ分析まで4℃で保存した。イオンクロマトグラフ分析は、サンプルを超純水で希釈後、メンブレンフィルター一体型ろ過バイアル(0.45 μm)でろ過を行い、陽イオン(Ca2+,Mg2+,K+,NH4+,Na+,Li+)と陰イオン(NO3-,NO2-,SO42-,Br-,Cl-,F-)濃度を測定した。その結果、原水群とCN群では有意差は認められず、藻類A,B,C全てにおいて、CN群と比較して藻類を0.2 g-1.5 g添加した全ての群でpHの有意な上昇と硝酸態窒素濃度及び硬度の低減効果が認められた。対象とする水環境中で発生した藻類を用いることが可能であると考えられ、藻類を自然に繁茂させるだけで簡便に低コストに硝酸態窒素濃度及び硬度を低減できるため、この方法は有用性が高いと考えられる。
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