| 研究課題/領域番号 |
19K02364
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| 研究機関 | 名古屋学芸大学 |
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研究代表者 |
山田 千佳子 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 准教授 (30351216)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 食物アレルギー / 小麦加工品 / ω-5グリアジン |
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| 研究実績の概要 |
本研究では、加工方法の違いによる小麦アレルゲンの変化がアレルギー症状の誘発に及ぼす影響を明らかにし、患者が安全に摂取できる小麦加工方法を提案することを目的とする。本年度は、食塩添加の影響について明らかにするために、モデル小麦加工品（うどん）を生地から作製し、タンパク質を抽出して存在状態の変化を解析した。また、主要小麦アレルゲンであるω-5グリアジンの検出を可能にするために、抗体作製を目的としてリコンビナントω-5グリアジンの調製を行った。
まず、無塩生地、有塩生地を作製し、純水で茹でて継時的にゆで汁を回収し、茹で時間によるタンパク質溶出の経時的変化を解析した結果、継時的にタンパク質溶出量が増加した。また、茹で時の生地の表面積の大きさの影響を比較するために、生地を1個、4個、16個の球状に分けて純水で茹でたときのタンパク質溶出の変化を解析した結果、表面積が大きいほどタンパク質溶出量が増加した。これらの実験において、無塩生地、有塩生地に大きな差は見られなかった。実際に市販されている種々のうどんを茹で、タンパク質溶出の変化を解析した結果、うどんタンパク質含量の約100分の1程度が溶出していた。
溶出タンパク質中にω-5グリアジンが含まれるかどうかを明らかにする必要があるが、市販のグリアジン抗体ではω-5グリアジンがうまく検出できなかった。そこで、抗体を作製するために、ω-5グリアジン遺伝子を組み込んだ大腸菌を研究協力者から分与していただき、リコンビナントω-5グリアジンの調製を行った。これをもとに抗体を作製し、解析を進める予定である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度は、加工品中の小麦アレルゲンの検出を可能にするために、①小麦アレルゲン検出抗体の作製に向けたリコンビナントω-5グリアジンの精製および小麦粉からのnative ω-5グリアジンの精製と、②モデル小麦加工品中の小麦アレルゲンの解析を行う予定であった。②についてはおおむね予定通りに解析が進み、うどん生地を条件を変えて作製し茹でたところ、ゆで汁にタンパク質が溶出し、溶出度合いが異なることが明らかになった。①についてもリコンビナントω-5グリアジンの精製までは予定通りであった。しかし、小麦粉からのグリアジン精製で問題が発生した。高速液体クロマトグラフを使用する予定で申請時の計画通り精製カラムを購入し、既存の高速液体クロマトグラフに取り付けて使用しようとしたところ、送液ユニットのパワーが足りず、ω-5グリアジンがうまく分離できないことが判明した。ω-5グリアジンの分離・精製は本研究においては必須であり、高速液体クロマトグラフ以外の方法での精製は時間がかかり非効率的であることから、送液ユニットの交換とそれに伴う備品調整を行いたいと考えている。
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| 今後の研究の推進方策 |
2020年度は、②モデル小麦加工品中の小麦アレルゲンの解析について、2019年度と条件を変えて検討する。具体的には、生地に酸・アルカリを添加した場合のタンパク質溶出の変化を解析したいと考えている。また、③小麦加工品中のアレルゲンの消化・吸収性についても解析を行う予定である。具体的には、各試料中のアレルゲンの消化性についてin vitroおよびin vivoの両面から検討し、さらにこれらの食品を摂取した際の吸収性の違いを明らかにする。まず、各試料を胃モデル消化液および小腸モデル消化液中で反応させ、アレルゲンの経時変化をイムノブロット法で解析する。次に、マウスに各試料を経口投与後、経時的に採血して血中の小麦アレルゲン濃度をELISA法で測定する。同時に消化管内容物を回収してイムノブロット法でアレルゲンを検出する。これらの結果から各試料の消化・吸収性を比較する。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、スタッフが研究室に集まることができず研究がストップしており、今後も予定通りに進まないことが予測される。しかし、実験器具の配置変換やスタッフのスケジュール調整など対策を取りつつ、可能な限り進めていく予定である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
アレルゲンの精製で問題が生じたため、精製したアレルゲンをもとに抗体を作製する計画が遅れてしまったことが主な理由である。抗体の作製は外注する予定だったため、その費用を次年度に繰り越した状態になった。また、高速液体クロマトグラフでのアレルゲンの精製には新たに送液ユニットの購入が必要ということが判明したため、その費用にも充てる予定である。
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