本研究は,ポリウレタンに匹敵する弾性衣料素材を,廃棄後には自然に還るバイオマス資源によって創出することを目指してスタートした. 基材試料にはバクテリア(酢酸菌)に生合成させたセルロース繊維(BC)のペリクルを用いた.自然乾燥後のBCペリクルは硬いシートになるが,1)複合化による乾燥過程での水素結合形成の阻止,2)BC繊維への化学修飾を試みた.結果としてBCとポリビニルアルコール(PVA) 水溶液の複合化後,凍結解凍を経て得た試料において,40%の圧縮変形を20回繰り返した後の弾性回復率が80%を維持した.これによって,ポリウレタンに代替できる素材をセルロースで調製できる可能性が示された.
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