本年度は、昨年度に引き続き、妊婦の食事データベースを元に妊娠初期、中期、後期の食事調査と貧血、妊娠糖尿病の発症について検討した。妊娠中の食事のデータベースを用いて、妊娠アウトカムと食事やSNPの測定を行い、個別化栄養プログラム開発のための調査を行った。最近、食事が身体の炎症状態に与える多くの文献に基づき開発された総合的な評価使用である食事炎症性指数(Dietary Inflammatory Index; DII)が注目されている。食事調査から得られた食事炎症性指数(DII)、妊娠糖尿病、鉄代謝に関わるSNPが妊娠中の貧血と関連していることを明らかにすることができた。妊娠中の貧血については、糖尿病を持つ人を対象に食後血糖値の改善を目標に間歇スキャン式持続血糖測定器(isCGM)を用いた指導を行ったところ、3食前後に加えて間食後や寝る前などスキャン回数が12回以上となると血糖変動指導の改善がみられることが明らかとなった。また、消化管・血液・肝臓・膵臓・筋肉・脂肪組織・インスリン抵抗性などの臓器間のネットワークを含めたシミュレーションモデル(機序計算モデル)を用いて3大栄養素(炭水化物、脂肪、たんぱく質)を変えることで、体重管理に最適な栄養素の割合を算出することができた。これらの情報は個別化栄養プログラムの開発に役立つと考えられる。
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