研究課題/領域番号 |
19K02370
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
新井 博文 北見工業大学, 工学部, 教授 (70295848)
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研究分担者 |
寺尾 純二 甲南女子大学, 医療栄養学部, 教授 (60093275)
高杉 美佳子 九州産業大学, 生命科学部, 准教授 (60305802)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 二酸化チタン / 紫外線 / 活性酸素種 / 化粧品 / 皮膚 / 抗酸化 / 細胞 |
研究実績の概要 |
皮膚への紫外線(UV)暴露はさまざまな障害を引き起こすため、日焼け止めなどの化粧品にはUV遮蔽を目的として二酸化チタン(TiO2)ナノ粒子が配合されている。一方、TiO2はUVを吸収することによって励起状態となり、周囲の酸素や水と反応して活性酸素種(ROS)を生成することが知られている。ROSは皮脂の脂質過酸化を惹起して老化等の原因となるため、化粧品に含まれるTiO2は水酸化アルミニウム等で被膜されている。しかし、実際には被膜されたTiO2ナノ粒子でもUV照射によりROSが漏出することが報告されており、抗酸化物質の配合が必須である。本研究の目的は、TiO2/UVによるROSの生成を効果的に抑制できる抗酸化物質を明らかにすることである。令和元年度は、TiO2/UVによって誘導される脂質およびタンパク質酸化のin vitro 実験条件を確立し、次年度の抗酸化活性評価系に用いることを目指した。 皮脂の主な不飽和脂肪酸であるリノール酸に可溶性コラーゲンを加え、ルチル型TiO2を懸濁した。ここにUVAを照射して37℃、pH 7.4でインキュベートした。生成する過酸化脂質をロダン鉄法で経時的に定量するとともに、電子スピン共鳴(ESR)によってROSを同定した。また、酸化タンパク質をイムノブロッティングによって分析した。 化粧品に用いられる1.3-ブタンジオールを緩衝液に添加することによってリノール酸を適切に分散することができた。照射波長は365 nmが適しており、晴天時の自然光よりも低い強度の照射で、検出可能量の脂質およびタンパク質酸化反応を誘導することができた。反応溶液中の構成成分の各濃度を調整して最適な実験条件を確立した。ESRによってヒドロキシルラジカルが検出され、脂質過酸化がラジカル連鎖反応で誘導されていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度の当初計画における目標は、TiO2/UVによる脂質およびタンパク質酸化条件の確立であり、達成度は概ね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は当初計画通り、令和元年度に確立した実験条件を用いてポリフェノール等の様々な抗酸化物質の活性を評価し、構造活性相関を明らかにする方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の購入物品の変更および年度末開催の学会発表がキャンセルになったため。 令和2年度への繰越額により細胞培養キットを購入予定。
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