研究課題/領域番号 |
19K02371
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
亀井 文 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (90310846)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | レジスタントスターチ(RS) / ひよこ豆 / 餡 |
研究実績の概要 |
本研究では、国内で餡としてこれまで調製されることがあまりなかったでんぷんを多く含む豆類を用いて、レジスタントスターチ(RS)量を多く含む餡の調製、そして、その餡を使用してRSという機能性成分も豊富な新たな食品の可能性を探ることを目的としている。 今年度は、ひよこ豆を用いて餡の調製法を確立し、加熱時間の違いによるレジスタントスターチ量、餡粒子の形態について研究を行なった。 餡の調製法はひよこ豆200gをイオン交換水2Lで24時間浸漬させ、その後加熱を行なった。加熱時間は40分、70分、100分の3条件で行なった。加熱後は水気を切ってすり鉢に入れて細かく砕き、漉し器で漉したものをさらしに入れ、口を縛り、6㎏の重石を乗せて1時間水気を切ったものを生餡として実験に用いた。生餡の収率は、40分62%、70分61%、100分65%であった。 各条件のRS量については、40分は4.3%、70分は10.1%、100分は4.1%であり、70分加熱のRS量が一番高い結果となったが有意差は見られなかった。それぞれの生餡の餡粒子を光学顕微鏡で比較すると、生のひよこ豆のでんぷん粒子と比べて、でんぷん粒の膨張による餡粒子の膨らみが確認でき、各加熱条件の餡粒子は扁平型をしているものが多く、先がとがっている餡粒子なども観察された。また、デンプン粒の溶出が認められたのは100分のみであった。さらに電子顕微鏡観察において各加熱時間における餡粒子の形態を観察すると、餡粒子の形状は、光学顕微鏡での観察結果と同様に扁平型をした粒子が多くみられた。各加熱時間における電子顕微鏡での餡粒子(1000倍)を比較すると、加熱時間40分と70分では餡粒子の細胞壁の様子はそれほど変化が見られないが、加熱時間100分における餡粒子では細胞壁の部分が網目状になっていることから、細胞壁の分解が進み細胞壁が薄くなっている様子が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度後期から、私の研究室および実験室のある建物の改修工事が始まり、現在は仮移転先で研究を行なうことを余儀なくされており、予定では、2020年度後期初めまで仮移転先で研究を行なわなければならない環境にある。また、仮移転先のスペースの関係で、実験設備は限られたものしか移転できず、計画していたテクスチャー測定機器も購入できないため、今年度はその測定はできなかった。 さらに、2020年2月からCOVID19の影響により、この研究結果およびこれまでのレジスタントスターチ研究結果を発表する予定であった国際および国内学会の中止が相次いでいることから、2020年度は研究発表の機会はないのではないかと危惧している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、ひよこ豆と同様にでんぷんを多く含む豆類で、国内でこれまで食されることがあまりなかったレンズ豆について研究を行なう計画である。レンズ豆は直径4~8mm、厚さが2~3mmと非常に小さい豆であるため、餡を調製するのではなく、生のレンズ豆を粉砕しパウダー状にして小麦粉の代替として用いて、高食物繊維であり、さらにレジスタントスターチ(RS)という機能性成分の豊富な新たな食品の可能性を探る計画である。 国内外ともに洋菓子によく使用される小麦粉の代替研究は多いが、国内でレンズ豆パウダーを用いた研究は研究者が調べた限りはまだないと思われる。そこで、パウンドケーキについて、まずはどこまで小麦粉をレンズ豆パウダーに代替出来るか、から実験を行う予定である。そして、代替したパウンドケーキのRS量を測定するとともに、官能評価も行う計画である。 また、仮移転先から改修後の実験室へ戻ることが出来た後には、テクスチャー測定機器を用いた実験も行う計画である。さらに昨年度行なった研究成果の発表はCOVID19が収束し、学会等が開催されることになれば、行うつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述のように、2019年度後期から、私の研究室および実験室のある建物の改修工事が始まり、現在は仮移転先で研究を行なうことを余儀なくされている。予定では、2020年度後期初めまで仮移転先で研究を行なわなければならない環境にある。また、仮移転先のスペースの関係で、実験設備は限られたものしか移転できず、計画していたテクスチャー測定機器も購入できなかった。また、この研究成果あるいはレジスタントスターチ関係の研究成果発表もCOVID19のため、出来なかった。 今年度、仮移転先から改修後の実験室へ戻ることが出来た後には、テクスチャー測定機器を用いた実験も行う計画であるため、機器購入を予定している。さらに昨年度行なった研究成果の発表はCOVID19が収束し、学会等が開催されることになれば、それも行うつもりである。
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