研究課題/領域番号 |
19K02371
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
亀井 文 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (90310846)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | レジスタントスターチ(RS) / 白さらし餡 / 食事パン / レンズ豆 |
研究実績の概要 |
本研究では、国内で餡としてこれまで調製されることがあまりなかったでんぷんを多く含む豆類を用いて、レジスタントスターチ(RS)量を多く含む餡の調製、そして、その餡を使用してRSという機能性成分も豊富な新たな食品の可能性を探ることを目的としている。 先の研究で小豆さらし餡やひよこ豆の餡など、餡にはRSが多く含まれていることが明らかとなった。そこで、今年度は食事パン材料の強力粉にさらし餡を代替して食物繊維やRSを含む食パンの新たな可能性について調べるため、市販の白インゲン豆さらし餡を用いて、白さらし餡代替食パンの調製の可能性について実験を行なった。乾燥いんげん豆こし餡「白さらし餡」((株)富澤商店)を強力粉の代替試料として用い、マルチホームクッカー(TWINBIRD製 PY-E621)の健康パン・全粒粉パンのメニューでパンの焼成を行ない、ホームクッカーに記されている材料の強力粉の配合の25%および50%を白さらし餡に代替し、RS量を測定した。RS量はMegazyme社のRS測定キットを使用した。白さらし餡に含まれるRS量は5.60%であった。白さらし餡0%代替食パンのRS量は1.21%、25%代替は2.83%、50%代替は3.95%と、0%、25%、50%代替パンのRS量は有意に高くなる結果となったが、50%代替パンは膨らみが十分ではなかったため、25%白さらし餡代替パンが食物繊維量とRS量が、強力粉食事パンと比べて多い食事パンとして有効であることが示唆された。 また、当初予定していたレンズ豆を用いた研究も進めているところである。レンズ豆は非常に小さい豆であるため、餡の調製が難しいことから、生豆を粉砕しパウダー状にしたものを利用してRSを含む新たな食品の可能性を探っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度11月から2020年度11月まで実験室および研究室を含む棟の改修工事が行なわれたため、仮移転先で研究を行なわなければならない環境にあり、2020年度11月までは仮移転先の限られたスペースで実験を行なわなければならなかった。また、そのため計画していたテクスチャー測定機器も購入できず、物性実験を行なうことが出来なかった。この機器は2021年度早々に購入を予定している。さらに、2020年2月からCOVID19の影響により、研究結果およびこれまでのレジスタントスターチ研究結果を発表する予定であった国際および国内学会の中止が相次いだことから、2020年度は研究発表も行なうことが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、昨年度から始めているレンズ豆について引き続き研究を行なう計画である。レンズ豆は直径4~8mm、厚さが2~3mmと非常に小さい豆であるため、餡を調製するのではなく、生のレンズ豆を粉砕しパウダー状にして小麦粉の代替として用いて、高食物繊維であり、さらにレジスタントスターチ(RS)という機能性成分の豊富な新たな食品の可能性としてパウンドケーキについて、どこまで小麦粉をレンズ豆パウダーに代替出来るか実験を行なっている。そして、代替したパウンドケーキのRS量を測定するとともに、物性評価および官能評価も行う計画である。今年度は仮移転先から改修後の実験室へ戻ることが出来たので、テクスチャー測定機器を購入して物性評価を行なっていく予定である。 さらに、これまで研究を行なってきた豆と同様に、でんぷんを多く含む豆にグリーンピースがある。グリーンピースは豆として食する際には主に飾りとして使用することが多く、あまり食されていないのが現状である。今回は市販されているグリーンピースパウダーにも着目し、このRS量が多く含まれると考えられるパウダーを用いて、機能性成分を有する食品の研究を進めていくつもりである。現在のところ、食事パンの強力粉に代替して美味しく食物繊維やRSが多く含まれたパンの可能性を探るつもりである。 また、今年度は昨年度行なった研究成果の発表を行うと共に、これまでの研究成果を論文にまとめ投稿するつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述のように、2019年度11月から研究室および実験室のある建物の改修工事が行なわれ2020年度11月まで仮移転先で研究を行なわなければならない環境であったため、計画していたテクスチャー測定機器が購入できず、研究成果発表もCOVID19のため行なうことが出来なかった。 今年度は早々にテクスチャー測定機器を購入し、これを用いた物性実験も行う計画である。さらに昨年度行なった研究成果の発表はオンラインで開催される国内学会等で発表するつもりである。
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