研究課題/領域番号 |
19K02375
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
菰田 俊一 宮城大学, 食産業学群, 准教授 (50404843)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 甲殻類アレルギー / メイラード反応 / 化学修飾 / 低アレルゲン化 / 免疫寛容 / ヘルパーT細胞 |
研究実績の概要 |
エビ由来のアレルゲンタンパク質(トロポミオシンタンパク質、TM)を、多糖類(ガラクトマンナン)にて化学修飾を施し、低アレルゲン化を試みたところ、in vitroレベル及びマウスを使ったin vivoにおいても一定の低アレルゲン化効果があることがわかった。本研究ではさらに、この低アレルゲン化したエビタンパク質を用いた長期間の投与試験を行い、免疫寛容を誘導効果により、脱感さが可能かどうか検証を行っている。現在のところ、一連の投与試験の中で、一定の脱感さが誘導された可能性が示されている。 エビTMは、糖類により化学修飾を受けると、その化学的な性状が影響を受けて、結果的にアレルゲン性も低減化することが示された。また、この効果は単糖類のグルコースやリボースを用いたときよりも、多糖類のガラクトマンナンを用いた場合の方が効果が高いことも示された。このことから、以後の研究は,多糖類を使って進めることとした。さらに、ガラクトマンナンを含む多糖類には、それ自体が免疫系への影響が期待されていることもあり、本研究における免疫寛容誘導活性の効果が期待された。本研究におけるこれまでの経過をみても、想定した通りTh1/Th2バランスの正常化に関わる一定の効果が確認されている。このまま研究を続けることにより、より多面的に評価を行い、効果の程度や機序の解明などが進められると期待している。 現在の状況としては、一部の試験において、条件の再検討が必要であったり、結果が不明確な部分が残っていることから、再試験をすすめている。また、現在、感さ・脱感さの指標として、ヘルパーT細胞の分化の様子をTh1とTh2バランスを使って簡易的にシグナル解析を行っているが、これだけではやや不十分であり、詳細検討をすすめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度当初より、しばらくの間、新型コロナウイルス感染症の拡大により、教育機関または研究機関として大学の機能が大きく影響を受け、一定期間研究に取り組むことができなかった。このため、研究の進捗がやや遅れた。特に、マウスを使った長期経口投与試験は大きな影響を受けることとなった。 一方で、進捗はやや遅れたものの、結果としては当初期待していた内容を、実際の研究の中で順次明らかにすることができてきている。残された期間の中で、繰り返し試験を続け、ノウハウや各種条件を最適化できていければ、期待に沿った結果を得ることができると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症拡大により、研究が大きな影響を受け、全体に遅れ気味ではあるが、研究内容としては当初予定していた結果に概ね沿ったものとなっている。このため、日程を繰り下げながら、ほぼ計画の通り研究を進める予定である。 先ずは、現在進めているマウスへの長期投与試験の継続的な実施と結果の解析を進める。また、この中で生じる各種試験条件の最適化とこれに合わせた再実験等を繰り返しながらより精度の高い結果を導く。評価法についてもこれまで簡易的にTh1/Th2バランスに関連するシグナル解析を行ってきたが、実際にはこれに限らずTreg, Th17などに関係する周辺のシグナル解析についても解析を進める必要があり、順次試験を進める。 さらに、今回用いたアレルゲンタンパク質の化学修飾法が、甲殻類由来のタンパク質以外にも有効であるか、また、派生して、他のタンパク質化学的な修飾法の有効性はどの程度なのかについても検討を進める。 また、一連の研究がある一定の成果と結びついたのち、本学の関係方面と協議しながら所定の手続きにしたがい、ヒトでどの程度効果があるのか、方法論と共に検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大により研究機関としての大学の機能が停止し、一定期間研究活動が行えない期間が発生した。特にマウスの長期経口投与に関する部分については、大きな影響を受け、その後の進捗がおくれた。このことから、マウスの管理及びその後の、各種評価や分析に関わる部分に遅れが発生し、関連費用の使用も遅れた。 次年度以降は、本年度実施予定の研究を進める予定であるため、繰り越し分は順次使用する予定。特に遺伝子解析にかかわる試薬等は高価になるため、繰り越し分に占める割合が大きくなった。
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