本研究は,脳内で高いbioavailability と検出性を備えたポリフェノール代謝産物の神経保護メカニズムを解明することを目的とした。培養細胞株の2層性共培養モデルを使用して,酸化ストレス性細胞死に対するポリフェノール代謝産物の作用を評価した。 Gallic acid,Ellagic acid,Urolithin-AはROS レベルの減衰を介して神経細胞の生存率を維持し,SOD 活性を増加させた。これらの抗酸化ストレス作用は,単層神経細胞よりも星状膠細胞との共培養神経細胞で増加したことから、抗酸化ストレスに関連する細胞間クロストークの存在の可能性が示唆された。Equolは、血液脳関門透過性があるとされ、神経保護効果が期待されたが、星状膠細胞の細胞生存率を維持したものの、神経細胞への効果は限定的であった。一方、神経細胞と血管内皮細胞の共培養では同ポリフェノール代謝産物の抗酸化ストレス作用は単層培養と比べ有意差は見られず、細胞間相互作用は明らかではなかった。共培養された星状膠細胞においてNrf2/ARE シグナルはGallic acid とUrolithin-A によって増強されたが,Ellagic acidとEquolによる同シグナルの増強は有意ではなかった。Nrf2/ARE 経路の増強は,星状膠細胞を介したポリフェノール代謝産物の神経細胞保護作用のメカニズムの1つであることが示された。
|