研究課題/領域番号 |
19K02380
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研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
葛西 リサ 追手門学院大学, 地域創造学部, 准教授 (60452504)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ひとり親 / シェアハウス / 集住 / 階層性 / 子どもの貧困 / 住宅政策 / 新たな住宅セーフティネット制度 / シングルマザー |
研究実績の概要 |
コロナ禍により本研究テーマであるひとり親の居住環境は大きく変化した。そこで、急遽、コロナ禍による、ひとり親の居住実態及び住宅ニーズを知るために、アンケート調査を実施した。 調査の実施にあたっては、SNS上で広くアンケート情報を発信し、無記名での協力を求めた。2020年5月15日時点で、回答数は、473名である。アンケートの目的は、新型コロナウィルスの蔓延による住生活の不安を即時的に明らかにすることであり、それが叶う手法として、ネットリサーチを選定した。 但し、ネットリサーチ(ウェブアンケート調査)では、虚偽回答等も一定含まれることが想定され、信頼性の面で課題を孕んでいることは言うまでもない。よって、本調査では、それを前提としつつも、多くの自由回答(269件、56.8%)を分析することで、当事者の実情に接近することを試みた。回答は全国から寄せられ、特に多かったのが、首都圏からの回答(東京143件、神奈川県46件、埼玉県32件、千葉県29件)である。 アンケートでは、半数がコロナ禍により収入が減ったと回答しており、回答者の6割が家賃支払いが苦しくなったと回答している。調査終了時点で、給与による支払いができていたものは半数、残る半数は、預金切り崩しや借金で急場を凌いだり、既に滞納するなどという状況にあった。 こういった居住不安の影響は、シェアハウスの現場にも影響しており、NPO法人ひとり親支援機構へのヒアリングによると、シェアハウスポータルサイトへのアクセスは、平時の3倍に増大、4月6日の緊急事態宣言発令時にはアクセス数が急上昇したという回答が得られている。最終年度は、コロナ禍の実態も踏まえた、シングルマザー向けシェアハウスの実相を捉えつつ、本来の目的である、シングルマザー向けシェアハウスの階層性等について検討を加える予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、ひとり親の階層性に対応しうる問題解決型集住システムを開発することにあるが、特に、市場ベースに乗りにくい低所得階層向けの仕組みづくりに力点を置くことに焦点を当てている。 昨年度は、新たな住宅セーフティネット制度の枠に、特別にシングルマザー向けシェアハウスを含める、横浜市の事例2件、加えて、高齢者住宅制度の枠組みを活用しながら、シングルマザーを含めた多世帯型のシェアハウスを運営する事例を対象に調査を実施した。また、複数のシェアハウス事業者を集めた、グループインタビューも複数実施することができた。 その結果をベースに、来年度以降は、更に、現地調査を重ね、低所得階層を包摂しうるシングルマザー向けシェアハウスの事業モデルの構築を目指したい。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、4月1日より、新たな住宅セーフティネット制度にシングルマザー向けシェアハウス基準が付け加えられ、家賃補助が導入されるシェアハウスが複数登場する可能性がでてきた。加えて、大阪府では、公営住宅の目的外使用による、公営住宅型、シングルマザー向けシェハウスの事例も登場している。今年度は、公的補助によるシェアハウス事例を検証し、その実態と効果を検証したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、国内調査のほんとどが実行不可となった。よって、多くが、国内旅費である。よって、最終年度は、可能な限り、現地調査を実施する予定である。
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