研究課題/領域番号 |
19K02381
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研究機関 | 東京医療保健大学 |
研究代表者 |
高木 晴良 東京医療保健大学, 看護学部, 准教授 (90187930)
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研究分担者 |
堀田 昇吾 東京医療保健大学, 看護学部, 講師 (70795707)
今井 淳子 東京医療保健大学, 看護学部, 助教 (20751233)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 病者用食 / 災害用備蓄 / 糖尿病 / 高血圧 / 食物アレルギー / 自治体(市) / 病院(災害拠点病院) |
研究実績の概要 |
災害発生時には、直接的な死亡だけでなく、災害関連死も問題となっている。特に、日常的に栄養管理を必要とするような慢性疾患を持病として持っている被災者の場合、避難生活による偏った食事環境は持病の悪化に直結する可能性がある。そのため、災害時でも問題なく摂取できる「(各疾患に合わせた)病者用食」を確保することが喫緊の課題となっている。そこで本研究では、①病者用食を必要とする慢性疾患患者、②災害基幹・拠点病院、③自治体の3方面から病者用食の備蓄状況およびそれに対する意識を明らかにすることを目的とした。 2020年度もコロナ禍の影響で、関係者へのインタビューなどは予定通りに進まなかったが、文献検討などを行った上で、研究計画書を作成し、当大学の「ヒトに関する研究倫理委員会」の承認を得ることができた(教32-41B)。具体的な計画としては、今年度中に以下の3種類の調査を行う予定であり、①に関しては5月末から実際に調査を開始したところである。 ①病者用食を必要とする慢性疾患患者(糖尿病、高血圧、食物アレルギー)に対して、インターネット調査会社のシステムを利用してWebアンケートを実施する。調査会社に登録しているモニターの中から3種類の疾患ごとに各200人ずつ抽出し、合計600人を調査対象とする。調査項目としては、「日常的な食事療法の有無」「病者用食の備蓄状況と種類」「災害時の病者用食に対する意識」などである。 ②全国の災害基幹病院と災害拠点病院に対して、無記名のインターネット調査を実施する。災害基幹・拠点病院の施設長宛に調査協力を依頼し、調査協力が可能な場合は、施設の栄養部門の責任者に、直接回答してもらう予定である。 ③全国の市に対して、無記名のインターネット調査を実施する。各市役所の保健医療福祉担当者宛に、既に公開されている情報等、担当者が答えられる範囲で調査協力を依頼する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍前の計画では、まず病院の関係部署や患者団体にインタビューを行いながらアンケート項目を検討し、2020年度には、病院に対するアンケート調査と慢性疾患患者に対するアンケート調査が行われているはずであった。しかし、コロナ禍のために、病院などの関係部署に対するヒアリングの継続や患者団体への集合インタビュー等が困難となったことから、アンケート項目の検討に関する計画が遅れてしまった。ただ現在は、具体的な研究計画が倫理審査委員会に承認されたため、実際のアンケート調査を開始することが可能になり、研究が進み始めている。
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今後の研究の推進方策 |
現在は、具体的な研究計画に基づき、病者用食を必要とする慢性疾患患者(糖尿病、高血圧、食物アレルギー)に対して、インターネット調査会社のシステムを利用したWebアンケートを開始したところである。6月上旬には対象者からの回答が揃うため、逐次分析を開始する予定である。主な分析がある程度終わる8月には、その分析結果を調査項目に反映しながら、全国の災害基幹病院、災害拠点病院に対する無記名のインターネット調査を実施する予定である。さらに、9月に入り「防災週間」が終わったころを目途に、自治体に対する無記名のインターネット調査を実施する予定である。なお今年度は、申し込み時期の関係から、慢性疾患患者に対するアンケート結果のみを関連学会へ発表する方向で検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、コロナ禍で災害基幹病院等を訪問してのインタビューや慢性疾患患者団体に対するインタビューなどができなかったことから、アンケート項目の検討が遅れることになった。その影響で、全体的な研究スケジュールに遅れが生じ、2020年度に予定されていたアンケート調査が2021年度にずれ込むことになったため、2020年度は予定された費用が発生しなかった。 なお、2021年度は外部委託調査を5月に行うことになっており、見積りによれば451000円の費用が発生する予定である。さらに、8月には全国755病院に、また9月には全国772市に対して調査を行うため、印刷費・郵送費等として、それぞれ25万円程度がかかる見込みである。
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