研究課題/領域番号 |
19K02381
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研究機関 | 東京医療保健大学 |
研究代表者 |
高木 晴良 東京医療保健大学, 立川看護学部, 准教授 (90187930)
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研究分担者 |
堀田 昇吾 東京医療保健大学, 看護学部, 講師 (70795707)
今井 淳子 東京医療保健大学, 看護学部, 助教 (20751233)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 病者用食 / 災害用備蓄 / 病院(災害拠点病院) / 糖尿病 / 高血圧 / 食物アレルギー |
研究実績の概要 |
病者用食を必要とする慢性疾患患者(糖尿病、高血圧、食物アレルギー)に対して実施した調査結果をまとめ、第28回日本災害医学会総会・学術集会に「特別治療食を必要とする慢性疾患患者の非常食備蓄に関する実態調査」として発表した。食物アレルギー患者は日常的に食事に配慮しているケースが多く、また災害への備えも他疾患患者と比べて有意に多くなされていた。これは、病院での栄養指導が有効に働いていると考えられた。被災した際の食事についての不安が糖尿病や高血圧患者よりも多くみられるのは、調理の仕方や食べ方の工夫ではアレルゲンを回避できない場合があるためと推察される。食物アレルギー患者に「被災した際には医療施設が特別治療食の供給を担うべき」という回答が他疾患患者と比べて有意に多かったのも同様の理由が考えられた。一方で、高血圧患者の半数以上が「自分に食事療法は不要である」と認識しており、食料備蓄の際の考慮もあまり多くはなされていない状況から、平時から食料の備蓄や工夫、栄養指導などに介入する必要性が考えられた。 また、2022年6月に実施した全国の災害拠点病院に対する調査結果をまとめて、同学会に「災害拠点病院における災害時に備えた病者用食備蓄の実態調査」として発表した。病者用食の備蓄は約半数の災害拠点病院で実施しており、発災時に備えて病院が(嚥下食を含む)病者用食の備蓄をすべきと回答する施設が多かった。災害拠点病院は3日分程度の食料備蓄が指定要件とされているため、病者用食についても3日分程度準備できることが望ましいと考えているが、入院患者だけでなく病院周囲の地域にいる患者のことも考慮すると、具体的には何食程度を備蓄するべきかのガイドラインが必要だと考えられた。また、病院の備蓄で対応できない際には自己管理が必要であるとしながら、災害時に備えた栄養指導について十分実施されていない点が今後の課題だと考える。
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