ユズは中四国・九州地域で多く栽培され、その多くが加工利用されている。ユズは果実中に比較的多くの種子を有しており、これらユズ種子は産業廃棄物として廃棄されてきた。これまで未利用資源であったユズ種子をアロマテラピーや香粧品分野への有効活用を目指して、種子油や種子エキスを調製し、それらの理化学的特徴や皮膚への安全性、およびヒト皮膚の水分保持効果・メラニン生成抑制効果などのいくつかの機能性を明らかにしてきた。本研究では、ユズ種子の香粧品分野におけるさらなる優位性や付加価値化を明らかにし、ユズ種子のさらなる利用促進を図ることを目的とした。 ユズ種子および未成熟果である青ユズ種子から種子エキスを調製し、ポリフェノール、フラボノイド類、リモノイド類含量を指標に最適抽出条件を決定した。また、各種抽出液の抗酸化作用を測定したところ、高い抗酸化作用を示し、その作用はポリフェノール含量と相関していた。次に、ユズ種子エキスの抗菌作用を評価したところ、大腸菌のようなグラム陰性菌には抗菌作用を示さなかったが、黄色ブドウ球菌などの数種のグラム陽性菌に対して抗菌作用を示した。また、皮膚の弾力性に寄与する細胞外基質(コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン)を分解する酵素(それぞれコラーゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ、エラスターゼ)に対して阻害作用を示した。また、細胞外基質を産生する繊維芽細胞の増殖を促進作用を示した。以上のことから、未利用資源であるユズ種子の優位性や付加価値を見出すことができた。
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