本研究は、調理実習において事後学習の調理実習ノートと調理技術の反復練習に着目し、ICTとアクティブラーニング(AL)を活用した教育支援システムの開発を目的とする。 これまで、我々は調理実習を記録するシステム(教員によるデモや調理実習中の様子を録画し、実習後に確認可能なシステム)を開発した。しかし、記録映像は膨大な情報量のため、映像を単純に視聴するだけでは、流れ作業で終わってしまうことが懸念される。また、教員が各調理台の膨大な記録映像を全て確認し、個別指導の材料にするのは現実的でない。そのため、本研究では上記の目的を達成するため、記録映像を用いた効果的な学習を支援するシステムを開発した。 令和4年度は、令和3年度から継続して進めていた空間上に記録映像の画面を映し出し、リアルタイムで学習状況や教員の模範映像を確認しながら反復練習が可能な「スマートデバイスを用いたMR技術による反復練習支援システムの開発」の研究に取り組んだ。また、システムの操作検証を行うため、栄養士養成課程の学生を対象に操作体験を行った上でアンケート調査を実施し、システムの有効性について検証した。さらに、蓄積された記録映像とスマートデバイスを連携させるアプリケーションについても開発した。 MR技術による反復練習支援システムの開発は、スマートデバイスとスマートデバイス上で動作するアプリケーションで構成される。アプリケーションは、Unity、Microsoft Visual Studio.Net C#、MRTKを用いて開発し、スマートデバイスに搭載されたシステム上で動作するようにした。アプリケーションの画面は空間上に記録映像が自由に表示されるように配置し、その周囲に操作メニューが表示するようにした。また、ユーザが移動とともにメニューが追尾または固定可能な機能も搭載した。
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