研究課題/領域番号 |
19K02389
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
鎌田 信 秋田大学, 教育学研究科, 教授 (10826647)
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研究分担者 |
田仲 誠祐 秋田大学, 教育学研究科, 教授 (50760881)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 管理職着任前の資質能力 / 管理職育成研修モデル / 教職大学院の活用 |
研究実績の概要 |
教員の大量退職時代において、次期管理職の人材育成や資質能力向上は重要な課題であり、今後の管理職層の資質能力の向上を図る必要がある。そのため、本研究においてはまずは管理職着任前までに必要な資質能力を全国の教員育成指標(管理職版)、現職教頭、管理職候補者の三つの視点から解明すること、また、これらのデータを元に管理職育成のための効果的なモデルを提案することを目的としている。 当該年度は、研究体制を確立することを目的に県教育委員会及び県総合教育センター及び大学との協議を数回実施、研究連携体制の基礎を築いた。また、研究目的の一つである管理職着任前までに必要となる資質能力の解明のデータとなり得る調査用質問紙の内容について教育委員会との協議の上作成した。 さらに、作成した調査票をもとに管理職候補者、現職教頭を対象に管理職着任前までに必要な資質能力の調査を実施している。管理職候補者92名、本県教頭219名、他県427名のアンケート調査、及び3県の教育委員会・大学への聞き取り調査を実施し、現在分析中である。これまでの分析から全ての対象者に共通して必要と考えられている資質能力の一つに「危機管理能力」があげられていることは明確となっている。また、管理職研修の実施方法として現時点での他県調査から、内容選択型の長期間での研修やパッケージ型の短期間での研修を実施しているところがあるなど、県教育委員会の方針によってその研修形態が大きく違うことが分かってきた。 管理職育成のための研修モデルを開発するに当たり、実際の研修を実践しながらモデル開発の研究をすることを県教育委員会と協議の上決定し、「スクールリーダー育成研修(仮称)」を2020年度に実施する。2020年度は教職大学院で行われている授業内容を取り入れた研修1日(2021年度は2日予定)また県教育委員会が実施する研修1日の計2日間の研修を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は(1)県教育委員会、秋田県総合教育センターとで具体的な計画及び方法について共通理解を図る(2)管理職候補者及び現職教頭を対象とした質問紙調査の実施(3)教員育成指標(管理職版)の全国比較を行うことを予定して研究を推進してきた。 (1)については県教育委員会及び秋田県総合教育センターから十分な理解を得て研究の協力体制を整えることができた。さらには質問紙の内容の決定や今後の管理職研修の在り方について協議を進めてきた。その上で、(2)の管理職候補者や現職教頭への質問紙調査を実施し現在も分析中である。県内の義務教育籍の管理職候補者92名、現職教頭219名、他県現職教頭427名からの調査が実施できている。(3)の全国の教員育成指標(管理職版)の比較については、昨年度前半に他の研究者が同様な着眼に基づく論文を発表していることから、論文結果をもとに次年度以降、別の視点も加えた分類・分析を検討し、先送りをして研究することとした。一方、2020年度以降に予定していた研修モデル開発については当該年度から着手し、県教育委員会と協議の上、実際に研修を実施しながらより良い管理職育成研修のモデル開発を行うこととし、2020年度に教職大学院の資源を活用した研修の実施を決めた。教職大学院側からは協力の了承を得ており研修内容の選定を進めている。 全体的な進捗状況としては研究順序の入れ替えはあるもののおおむね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目は管理職着任前までに必要となる資質能力を解明するために、調査データの分析方法を確立し、第1報の論文としてまとめることを目指す。さらには教員育成指標(管理職版)の追分析を実施する。また、平行して他県調査をさらに実施し、調査結果の一層の一般化を図る。ただし、新型コロナウイルス禍の影響で他県調査が進まないことも予想される。 管理職研修モデル開発については実際の研修を担当、実施しながら、他県調査及び文献等も踏まえモデル開発を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は14951円であり、予算を大幅にオーバーしないように配慮しながらの執行したために発生した残金であり、ほぼ計画通り予算執行できているものと判断している。2020年度は物品費を計上していないため、調査分析及びモデル開発のための実際の管理職研修を行う上での消耗品購入のための予算として計上して使用する予定である。
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