研究実績の概要 |
本研究は、ナチス・ドイツにおいて、幼児教育がどのような役割を果たしたのかについて明らかにすることを目的としている。特に、ドイツの幼児教育の中心にあったドイツ・フレーベル連盟及びそこに参加していた有力な団体の一つであるペスタロッチ・フレーベル・ハウスの活動を分析の対象とする。この分析を通じて、ドイツの幼児教育とファシズムの関係を問うのみならず、幼児教育それ自体のもつ課題に迫ることを目指すものである。この研究目的のため、研究開始一年目(2019年度)には、先行研究の整理と資料収集を行った。ナチス期の幼児教育に関する先行研究については、すでに収集し分析を始めているが、8月に短期ではあったが、ベルリンにおいて雑誌資料の収集を行った。同時に、先行研究の分析を行い、これらの研究を家族史及び教育史の両方を視野に入れて、それらとの関係で歴史的に位置付ける作業を進めた。 教育史的な位置づけに関する研究成果としては、2020年3月に刊行した、小玉亮子編『幼児教育』(ミネルヴァ書房, 総ページ数201p.)の中で、「幼児教育の変遷」(pp.15-27)を執筆した。ここでは、近代幼児教育の流れを概括するとともに、その流れの中に、本研究が取り扱う、ペスタロッチ・フレーベル協会の果たした役割について論じた。また、中国教育学会・幼児教育部会の大会において、キーノート・スピーカーとして、Ryoko KODAMA, “What is a quality of early cildhood education in the age of mesurement ? ”The annual conference of early childhood education, CSE (2019) / The 2nd academic forum on quality evaluation and promoteon of childhood education, East China Normal University, Shanghai, China, keynote speaker, 2019.11.18 という講演を行った。ここでは、近代から現代に至る幼児教育の展開をまとめるとともに、それが日本にどのような影響を与えているのかを論じた。
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