研究課題/領域番号 |
19K02393
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
高柳 充利 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (60575877)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | エマソン / ソロー / 超越主義者 / 教師教育 |
研究実績の概要 |
本研究課題「教師集団としての超越主義者:19世紀米国知識人にみる協働の教師教育の思想」では、これまで「個性」尊重の教育思想の源流とされてきた、19世紀米国の超越主義者たちを、教師の研究交流集団という観点から再考することを通し、個々の教育実践-思想家としての超越主義研究に加え、喚起(provocation)という相互触発としての教育関係の研究への端緒を得ると共に、近年の教師教育研究において議論が活発化している、教師間の協働・学び合いといった課題への示唆を得ることを目的としている。そのような目的のもと、当該年度においては、研究実施計画に照らし、教師集団としての超越主義者たちの特質を、エマソン、ソローらの著作と資料の分析を通して、超越主義者同士の相互教育の思想として析出する調査を実施してくることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超越主義者においては、その思想形成のプロセスとその思想内容との間に、互いを入れ子構造的に内包する相互性が現れており、この相互性の秘密を解明することにおいてこそ、他では代えがたい教師教育=学び合いへの貴重な示唆を得ることができる。これなくしては、教師の協働・チームでの学びも、「実践されていること」と「教師が学びとること」との相互関係の空疎化を招き、相互触発による喚起は不在のままに形式化したものとなってしまう危険性が危惧され、そのような事態に陥らないための原理的な再検討が必要である。こうした事項に取り組む端緒を得た。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、19世紀米国知識人の協働・学び合いの場を、米国マサチューセッツ州コンコードにおける超越主義者たちの活動に着目し、書物回覧所において超越主義者たちによりいかなる学び合いがなされたのか把握することを目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初計画で見込んだよりも安価に研究が進んだため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は令和2年度請求額とあわせて消耗品費として使用する予定である。
|