研究課題/領域番号 |
19K02395
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉川 卓治 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (50230694)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 総力戦体制 / 医薬制度調査会 / 厚生省 |
研究実績の概要 |
本研究は、戦前から戦後にかけて展開された医学系専門職養成制度の改革過程を、各種審議会、行政諸機関と改革過程、および主要人物の動向という三つの局面に注目して解明しようとするものである。 2020年度においては資料の収集と整理・翻刻作業に従事した。そして2021年度もそれらの作業に引き続き取り組んだ。しかし新型コロナ感染症の広がりのため、資料館や図書館に直接出向いて調査をすることが十分にはできず、主として国立国会図書館のデジタルライブラリーやインター・ライブラリー・ローン(ILL)を活用しての資料収集となった。とはいえ、収集した資料を用いて可能な限り研究を進めた。 そうした状況のなかで2021年度は、総力戦体制下の1938年に設置され、医学系専門職養成制度改革について中心的に議論を展開した医薬制度調査会の検討に取り組んだ。具体的には、どのような理由で調査会の委員が選任されたのか、委員はどのように異動したのか、そして総会、特別委員会、小委員会はどのような日程で開催されたのか、といった基礎的な事項について整理し検討を行なった。その結果、従来の研究では、厚生省衛生局の官僚の主導的役割が重視されてきたが、それに対して調査会の委員が個人の資格で選ばれたのではなく、議会の会派や業界代表として選ばれた面が強かったことなどを指摘することができた。このことは、調査会がその利害調整の場としての役割を果たしていたのではないかとの新たな見解につながるものと思われる。この研究成果は、2021年9月発行の所属研究科の研究紀要に発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の拡大により資料調査に出向くことができなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
医学系専門職養成過程改革のキーマンだった人物について、その経歴、生育背景、思想などについて検討を進める。 また戦時期の医薬制度調査会を中心とした審議会等の改革構想を検討する。 さらに戦後改革期における制度改革について資料収集と分析を行なう。 以上をまとめて年度末には報告書を作成したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度から2021年度にかけて新型コロナ感染症の拡大により、資料収集のための出張が十分にできず研究活動全体に遅れが生じていたため。 2022年度においては感染症の状況にもよるが、可能な限り資料の収集を行ない研究を進め、年度末には報告書を作成する予定である。
|